今現在、虫歯がある人、もしくは過去に虫歯治療を受けていて再発するリスクが高い人は、そのまま歯列矯正を受けられるのか疑問に思われていることでしょう。虫歯だらけだと矯正歯科で門前払いを受けてしまいそうで不安ですよね。

そこで今回は虫歯があっても歯列矯正を受けられるのか、また、矯正中に虫歯になった場合の対処法についても詳しく解説します。

▼虫歯だらけでも歯の矯正はできる?

虫歯がある状態で矯正はスタートできない

虫歯だらけでお口の中の状態が悪い場合は、そのまま歯列矯正を行うことは難しいです。歯列矯正は、治療法に関わらず何らかの装置を口腔内に設置するため、口腔内の状態が悪くなる虫歯を放置することはできないのです。

仮に、矯正装置を装着できたとしても、虫歯は確実に進行していきます。虫歯菌が出す酸によって歯質が溶け、噛み合わせなどが変化するだけでなく、歯そのものを失いかねないので、まずは虫歯治療に専念しましょう。

虫歯が治れば矯正も可能になる

虫歯菌に侵されている歯質を削り、詰め物や被せ物などを装着すれば、歯列矯正も可能となります。詰め物・被せ物がレジンや銀歯であったとしても問題ありません。特別な接着剤を使えば、ブラケットを装着することも可能です。

ただし、「虫歯だらけ」の状態では、もともと虫歯リスクが高くなっているため、お口の中をセルフケアで清潔に保てるようになるまでは、矯正をスタートさせない方が良いといえます。具体的には、歯科医院でブラッシング指導を受け、正しい口腔ケア方法を身につけることが大切です。

▼歯列矯正中に虫歯になってしまった場合は、どうする?

対応はケースによって変わる

歯列矯正中に虫歯になった場合も虫歯治療が優先されることは変わりません。虫歯は自然に治ることがない進行性の病気なので、どのようなケースにおいても早期治療が求められます。治療を始めるのが早ければ早いほど、失う歯質の量も抑えられるからです。そこで気になるのは、虫歯治療が終わるまで矯正をストップするかどうかですよね。

そこの対応は、主治医の判断によって変わります。ケースによっては歯列矯正を中断する必要がないこともあるからです。

矯正を中断するケース

比較的大きな虫歯ができた場合は、ブラケットやワイヤーが虫歯治療の妨げとなることがあります。また、虫歯治療も数週間に及ぶため、そうしたケースでは矯正を一時的に中断することも多いです。特に虫歯が歯の神経にまで及んでいて、根管治療を行わなければならない場合は、歯列矯正を継続するのは難しいです。

もちろん、ワイヤーの部分矯正で装置を装着していない歯に重症度の高い虫歯ができたケースでは、矯正を継続しながら虫歯治療を行うこともあります。虫歯になった歯には力も加わっておらず、矯正治療とはほとんど関係がないといえるからです。

矯正を中断しないケース

ブラケットやワイヤーを装着した状態でも問題なく虫歯治療できるケースでは、わざわざ装置を撤去して矯正を中断する必要はありません。

例えば、表側矯正で歯列の裏側にちょっとした虫歯ができた場合は、矯正を継続しながら一般歯科で虫歯治療を行います。また、軽度の虫歯であれば、虫歯菌に侵されている歯質を少し削り、詰め物をするだけで治療が完了することから、そもそも矯正を中断する必要性が低くなっています。ただし、軽度の虫歯であっても、ブラケットやバンドが装着されている部位に生じているケースでは、それらを一時的に取り外す必要があります。 マウスピース矯正の場合には、装置を作り直さずに治療できるケースも多くあります。

ですから、歯列矯正中に虫歯になった場合は、ケースに応じて柔軟に対応する必要があるといえます。矯正歯科と一般歯科で異なる医院に通われているのであれば、それぞれの先生に情報を共有してもらい、最善といえる方法を模索していくことになります。そういう意味で歯列矯正というのは、矯正治療を得意としている歯医者さん(=矯正の専門医)であることは必須ですが、虫歯治療や歯周病治療にまで対応している医院にお願いした方が良いといえます。

▼インビザライン(マウスピース矯正)は虫歯になりにくい矯正方法

ここまで歯列矯正中の虫歯への対処法について詳しく解説してきましたが、前提としていたのは「ワイヤー矯正」です。歯の表面に金属製のワイヤーとブラケットを装着するワイヤー矯正は、清掃性が悪く、虫歯のリスクが高くなるからです。実際、ワイヤー矯正を始めてから虫歯になってしまう人は一定数いらっしゃいます。

そこで是非とも知っておいていただきたいのが、虫歯になりにくい「マウスピース矯正」です。

(インビザライン(マウスピース矯正)については、こちらの記事で詳しく解説しています。「マウスピースで歯列矯正(インビザライン)|メリット・デメリット、費用と期間を解説」

食事のときに取り外せる

マウスピース矯正のインビザラインは、食事の際に装置を取り外せます。アライナーと呼ばれるマウスピース型の矯正装置は取り外し式であり、お口の中に装置のない状態で食事を楽しむことができるのです。これは食事が美味しくなるだけでなく、食べかすが装置に挟まったり、溜まったりすることを回避することもできるのです。ワイヤー矯正はデコボコとしたマルチブラケット装置に食べ物が停滞することで虫歯リスクを上昇させます。

歯磨きのときに取り外せる

マウスピース矯正のインビザラインは、歯磨きの際にも装置を取り外せます。普段通りに歯磨きできるため、歯列矯正中だからといってお口の中が不潔になることはありません。マウスピースの清掃も容易に行えるので、歯列矯正中の虫歯リスクを最小限に抑えることが可能です。

▼よくある疑問

ここでは、歯列矯正に関するよくある疑問・質問をいくつかご紹介します。

Q.矯正歯科では虫歯があっても教えてくれない?

A.教えてくれます

矯正治療だけに対応している歯科医院では虫歯治療を行っていませんが、診療中に虫歯を発見した場合は間違いなく教えてくれます。虫歯を発見したにも関わらず、それを患者さんに教えないということは歯科医師としてあり得ない行為です。ただし、診療技術や知識が未熟で、虫歯に気付かない歯科医もいますので、その点はご注意ください。

Q. 銀歯が多くても、矯正はできる?

A.基本的に矯正できます。

銀歯自体は矯正治療を妨げる要因にはならないので、銀歯が人より多かったとしても歯列矯正は行えます。歯の頭の部分全体を覆うメタルクラウン(=被せ物)を装着していると、矯正ができないものだと誤解されている方もいらっしゃいますが、その点はご安心ください。

ただ、歯列矯正は硬い骨に埋まっている歯を人為的に動かす治療であり、歯の根や顎の骨の状態が悪いと、矯正ができない場合があります。銀歯が多いということは、それだけ虫歯リスクが高く、お口全体の状態も悪くなっていると想定されるため、精密検査をしてみなければ、治療の可否を判断するのは難しいのが現実です。

▼まとめ

今回は、虫歯だらけであっても、歯並びの治療である歯列矯正を受けられるかどうかについて解説しました。基本的には虫歯があっても虫歯治療を完結させれば歯列矯正を行えます。歯並びの治療中に虫歯になった場合はケースによって対応も変わってきますので、そこは主治医と相談しながら決めていくことをおすすめします。

いずれにせよ今現在、虫歯がある、もしくは虫歯リスクが高いからといって、歯列矯正を諦める必要はありません。虫歯が心配で歯並びの治療に一歩踏み出せないという方は、お気軽にエムデンタル矯正歯科・用賀までご相談ください。当院は、矯正治療と一般歯科治療の両方に対応している歯医者さんです。

当院の矯正歯科については、こちらのページをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」