悪い歯並びを歯科治療で治す場合、マウスピース矯正(インビザライン)とワイヤー矯正のどちらかを選択するのが一般的です。それぞれに異なる特徴があるので、どちらが良いのか分からない、または迷っているという方が多いかと思います。
そこで、今回はインビザラインとワイヤー矯正をポイント別に比較していきます。違いを深く理解して、治療方法の選択に役立てましょう。
▼インビザラインとワイヤー矯正の特徴
マウスピース矯正(インビザライン)の特徴
インビザラインは、透明な樹脂製のマウスピース(アライナー)を使って治療する矯正法です。装置が目立ちにくく、矯正中であることに気付かれたくない方にとって非常にメリットが大きい矯正法といえます。
食事や歯磨きの際に装置を取り外せたり、治療に伴う痛みが少なかったりするなど、メリットを挙げたらきりがないほどです。そのため昨今はインビザラインで歯列矯正を行う人が急増しています。
ワイヤー矯正の特徴
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる四角い留め具を1本1本の歯に装着してワイヤーを通す矯正です。歯列矯正と聞いてまず頭に浮かぶのは、ワイヤー矯正ではないでしょうか。
日本のみならず世界でも普及しているスタンダードな矯正方法であり、ほとんどの歯並びに適応できるというメリットがあります。
▼インビザラインとワイヤー矯正をポイント別に比較
インビザラインとワイヤー矯正の違いについて細かく知りたいという方のために、比較ポイントを10個挙げました。矯正の治療選択の参考にしてください。
比較ポイント1 矯正装置の目立ちやすさ
〇インビザライン:目立ちにくい
✕ワイヤー矯正 :目立ちやすい
矯正装置は、間違いなくワイヤー矯正の方が目立ちやすいです。標準的なワイヤー矯正では、金属製のブラケットとワイヤーを使用するため、歯列全体で金属色が剥き出しになります。表面が白くコーテイングされたホワイトワイヤーやセラミック製の白いブラケットを使用しても、口元の違和感は残ってしまうものです。
その点、透明で薄型のマウスピースを使用するインビザラインは、近くで注意深く観察しなければ気付かれることもありません。表面は滑らかで光を反射することはありますが、見た人に不快感を与えるリスクは極めて低いです。
比較ポイント2 虫歯・歯周病のリスク
〇インビザライン:リスク低い
✕ワイヤー矯正 :リスク高い
虫歯や歯周病のリスクも、基本的にワイヤー矯正の方が高いです。歯面に設置されるブラケットはデコボコとしており、汚れやプラーク、歯石などがたまりやすくなっています。矯正用ワイヤーが邪魔で歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを入れられない部位も多数あります。
一方、インビザラインのマウスピースは、食事や歯磨きの際に取り外せるため、汚れが詰まりにくく、ケアもしやすいです。ただし、マウスピースを装着したまま清涼飲料水などを飲むと、虫歯・歯周病のリスクが急激に上昇するのでご注意ください。
比較ポイント3 痛み
〇インビザライン:少ない傾向
✕ワイヤー矯正 :強い傾向
インビザライン矯正では、マウスピース1枚でおよそ0.25mm歯を移動させます。比較的弱い力で着実に歯を動かすことから、治療に伴う痛みや不快感も少ない傾向にあります。ワイヤー矯正は1回の調整で0.5mm程度歯を動かすこともあり、比較的強い力が歯列全体にかかりやすいです。そのため治療に伴う痛みも強くなる傾向にあります。
また、装置による物理的な刺激も、薄型で滑らかな形状のインビザラインの方が少なくなる傾向にあります。ワイヤー矯正はデコボコとしたブラケットに、先端がとがったワイヤーを使うことから、お口の中の粘膜を刺激しやすくなっています。調整の度に新たな痛みや不快感が発生することもあり、矯正期間中のストレスもワイヤー矯正の方が大きいといえるでしょう。
比較ポイント4 適応範囲
✕インビザライン:ワイヤー矯正よりは狭い
〇ワイヤー矯正 :広い
現状、症例の適応範囲に関しては、ワイヤー矯正の方が広くなっています。ワイヤーはブラケットをつける位置やワイヤーの屈曲度などを調整することで、三次元的な歯の移動も効率良く行えます。
インビザラインの技術も年々進歩しているものの、ワイヤー矯正ほど幅広い症例に適応できるわけではありません。ですから、重症度の高い歯並びの乱れは、インビザラインではなくワイヤー矯正が第一選択となりやすいです。
比較ポイント5 自己管理の必要性
✕インビザライン:必要あり
〇ワイヤー矯正 :必要なし
ワイヤー矯正に必要なブラケットなどの装置は、設置から撤去までの全てを専門家が行いますので、患者様ご自身で管理する作業はほぼありません。それは自己管理の必要性という観点からはメリットとなりますが、自分の意思で着脱できないことはデメリットにもなり得ます。
一方、インビザラインのマウスピースは、患者様ご自身で着脱していただくことから、自己管理が必須となっています。そうした決まりごとが苦手な方にとってはデメリットとして捉えられますが、自己管理が得意な方にとっては、ここぞという時に取り外せる装置ほど便利なものはないと感じられるでしょう。
比較ポイント6 食事のしやすさ
〇インビザライン:しやすい
✕ワイヤー矯正 :しにくい
食事はインビザラインの方がしやすいです。インビザライン矯正では、そもそも装置を装着したまま食事をすることがありませんので、矯正中も普段通りにご飯を食べることができます。
一方、ワイヤー矯正は固定式の装置であり、その設計によっては食事のしにくさが顕著に現れることも珍しくないです。硬い物や粘着性の高いものは、装置の破損につながることから、口にする機会も少なくなります。
比較ポイント7 歯の磨きやすさ
〇インビザライン:しやすい
✕ワイヤー矯正 :しにくい
インビザラインは歯磨きの際にマウスピースを取り外すため、普段通りに歯磨きできます。デンタルフロスや歯間ブラシなども問題なく使用できます。
ブラケットとワイヤーが固定されているワイヤー矯正は、いうまでもなく歯磨きしにくいです。これはインビザラインとワイヤー矯正における決定的な違いのひとつといえます。
比較ポイント8 費用
〇インビザライン:90万円前後が相場
✕ワイヤー矯正 :100万円前後が相場
歯列矯正は、原則として自費診療となるため、料金設定は歯科医院によって異なります。その上で全国的な相場に触れると、インビザラインは900,000円前後、ワイヤー矯正は1,000,000円前後の費用がかかることが多く、インビザラインの方が経済的といえます。
比較ポイント9 治療期間
・インビザライン:差なし
・ワイヤー矯正 :差なし
同一の症例における治療期間は、インビザラインとワイヤー矯正に大差はありません。全体矯正であれば歯を動かすのに2~3年、保定期間に2~3年を要します。歯並びの乱れが軽度の症例に対してインビザラインを適応する場合は、1年かからずに矯正が終わることもあります。
比較ポイント10 仕上がりの違い
・インビザライン:差なし
・ワイヤー矯正 :差なし
矯正治療の仕上がりという観点では、あえてどちらかを選ぶのであれば、ワイヤー矯正の方が優れていると言えます。ワイヤー矯正は、歯の傾きや位置を細かく調整するのが得意な矯正法だからです。しかし、そうした仕上がりの違いが現れるのは一部のケースで、基本的に仕上がりにそれほど大きな差は生じないと考えていいでしょう。
▼まとめ
インビザラインとワイヤー矯正の違いについて解説しました。それぞれに異なるメリット・デメリットがあり、いろいろなポイントを比較することで、どちらが患者様ご自身に向いているのかも見えてくると思います。インビザラインとワイヤー矯正のどちらの矯正方法にしようか迷っている方は、お気軽に当院までご相談ください。まずは丁寧にカウンセリングいたします。
当院の矯正治療については、こちらのページで詳しく記載しております。ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」