歯並びの乱れを細かく整えることができる歯列矯正は、口元の審美性を改善する上で非常に有効です。しかし、歯列矯正をすると顔つきが変わるという情報を耳にして、不安に思う方もいるでしょう。

そこで今回は、歯列矯正における顔つきの変化の可能性について詳しく解説します。

▼歯列矯正をすると顔は変わる?

歯列矯正を行うと顔つきに変化が現れます。それはほとんどのケースで“良い変化”です。というのも歯列矯正では、歯並びはもちろんのこと、フェイスラインや口元の印象を考慮した治療計画を立て、それに基づいて矯正を進めていくからです。

ただし、顔の骨格が大きく変わるような変化は見込めません。歯列矯正で手を加えるのはあくまで歯並びです。歯並びが顔の輪郭に影響している範囲に限り、変化が認められます。

▼顔つきの変化を感じやすい歯並び

歯列矯正は、悪い歯並びの種類によって、顔つきの変化の感じやすさも異なります。
次に挙げるような歯並びは、歯列矯正を受けることでフェイスラインや口元の印象が改善しやすいと言えます。

出っ歯

専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれる歯並び・噛み合わせの異常で、口が閉じない、口元が膨らんで見えるといった症状が現れます。

日本人に比較的多い噛み合わせの状態で、歯列矯正での改善を希望する方が多いです。横顔の美しさの指標となる「Eライン(エステティックライン)」を気にする方も多いでしょう。

しゃくれ

受け口、反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)などの呼び名がある歯並び・噛み合わせの異常です。顎が“しゃくれて”見えるため、口元をコンプレックスに思う方も多いでしょう。

顔つきに大きな影響を与える歯並びとしては、出っ歯と同じくらい有名です。

口ゴボ

口元がモコっと膨らんで見える歯並び・噛み合わせで、上顎前突や上下顎前突が原因となりやすいです。

口ゴボというのはあくまで俗称なので、正確な定義はありません。適切な方法で歯列矯正を行うことで、症状の改善が見込めます。

乱ぐい歯

専門的には叢生(そうせい)と呼ばれる歯並び・噛み合わせの異常で、歯列がデコボコであるのが特徴です。その中でもとくに上の犬歯が外側に飛び出しているものを八重歯(やえば)といいます。

口元や横顔の輪郭などに大きな影響を与えることは少ないですが、歯列矯正によって印象が良くなるでしょう。

▼歯列矯正をすると、どのように顔つきが変化する?

歯列矯正を行うと、次に挙げるような顔つきの変化が期待できます。

Eラインが改善する

Eラインとは、鼻の先と顎の先を結んだラインで、横顔の美しさの指標となります。横から顔を見た際、Eラインの少し内側に上下の唇が入っているのが理想的とされています。

出っ歯や受け口、口ゴボなどの歯列不正がある場合、唇がEラインの外側になっていることが多いため、歯列矯正を行うことでEラインが整います。

歯列矯正では、このEラインを改善することもひとつの目的としています。

口が閉じられるようになる

歯列矯正で前歯の前方への傾きや位置異常を改善すると、口が閉じられるようになります。出っ歯の症状があると口が閉じられないケースもありますが、歯列矯正により口が閉じられるようになると、顔つきも大きく変わることでしょう。

もちろん、出っ歯の症状がどのくらい改善するかは症例によって変わります。重症度の高い出っ歯の場合は、歯列矯正を行っても口が閉じられない症状が残ることもあります。

しゃくれがなくなる・目立たなくなる

下の前歯の傾きや位置異常がある場合は、歯列矯正を行うことで“しゃくれ”という症状が改善されます。顎のしゃくれは横顔や口元の印象を左右する大きな要素なので、矯正によって改善できれば顔貌も大きく変わることでしょう。

ただし、出っ歯と同じように歯列不正の重症度が高かったり、骨格的な異常に由来する受け口であったりすると、歯列矯正で改善できる範囲は一部に限られることがあります。

▼歯列矯正をする際に、顔つきの変化に関するよくある疑問

Q.抜歯をして歯列矯正をしたら顔は変わりますか?

これまで説明したきたとおり、歯列矯正を行うと顔つきが変わることがあります。ただし、抜歯の有無は関係ありません。また、変化する場合は良い変化ですので、そんなに心配する必要はありません。

歯列矯正において、抜歯が必要になるのは、スペース不足を補うためです。抜歯によって不足したスペースを作り出すことで、歯をきれいに並べることが可能となります。出っ歯や受け口、口ゴボといった歯並びは、スペースが足りないことで歯が外側に飛び出しているとイメージしたらわかりやすいかと思います。

歯列矯正における抜歯については、こちらの記事で詳しく解説しています。「矯正で抜歯が必要になるケースと理由を解説|抜歯のメリット・デメリットも」

Q.歯列矯正をすると顔が小さくなることはありますか?

顔の大きさというのは、基本的に骨格によって決まっているので、歯並びを細かく整える歯列矯正で劇的な変化を求めるのは難しいです。

ただ、歯列矯正によって顔の輪郭が小さく見えるようになることもあります。今回ご紹介したような「顔つきの変化を感じやすい歯並び」なら、歯列矯正の後に顔が小さくなったと感じる方も少なくありません。

Q.歯列矯正をすると鼻の下(人中)が長くなることはありますか?

場合によっては鼻の下が伸びたように感じることもあります。本来は抜歯をして矯正すべきケースで、無理やり非抜歯で治療を進めると、そのような症状が現れるリスクが生じます。具体的には、治療によって歯が前方へと移動し、口元の突出感が強まるようなケースです。

その結果、歯並びや噛み合わせが良くなったとしても顔つきには悪影響が及ぶことから、患者様にとってのデメリットは大きくなります。ですから、正しい知識と経験、技術を持った矯正医は、治療計画の段階でそうしたリスクを排除するよう努めます。抜歯が必要なケースで無理に非抜歯で治療を進めることもしませんのでご安心ください。

Q.歯列矯正をすると目の大きさが変わることはありますか?

歯列矯正で、目の大きさが変わることはありません。歯列矯正はあくまで歯並びの乱れを整える治療であり、目元へ影響することはほとんどないからです。ただ、歯並びがきれいになって笑顔に自信が持てるようになると、顔全体の表情も良くなります。その結果、目がぱっちり見えるようになるなどの影響は起こり得ます。表情が豊かになると、それだけで魅力的に見えるようになりますよね。

▼まとめ

今回は歯列矯正による顔つきの変化について解説しました。歯並びは横顔や口元の印象に深く関わっているため、矯正治療を行うことで顔つきまで良くなることが多いです。

歯並びが原因で口元にコンプレックスを抱いている方は、ぜひ矯正治療の相談にいらしてください。当院は、マウスピース矯正のインビザラインに力を入れております。
当院の矯正歯科については、こちらのページをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」