装置が透明で目立ちにくく、取り外しもできるインビザラインは、従来の歯列矯正の概念を良い意味で壊してくれました。「固定式のワイヤー矯正は見た目が嫌だ」「治療に伴う痛みが怖い」インビザラインはそういった方に心からおすすめできる矯正システムですが、マウスピース矯正も医療行為である以上、必ずデメリットも伴いますので、メリットだけに目を向けるのも良くありません。

そこで今回は、インビザラインの特徴についてデメリットを中心に解説したいと思います。

▼インビザラインのデメリット

マウスピース矯正のインビザラインには、次に挙げるようなデメリットがあります。

デメリット1 対応できないケースがある

インビザラインの技術は年々進歩しており、対象年齢や対応できる症例の幅もどんどん広がってはいるものの、万能な矯正法ではありません。1歯1歯にブラケットを装着して歯を移動するワイヤー矯正に劣る部分もあり、対応が難しいケースも存在しています。とくに骨格的な問題に由来する歯並びの異常は、インビザラインで治せないことが多いと言えます。

また、たくさんの歯を抜歯して、歯を大きく移動しなければならないケースもあまり向いていないと言えるでしょう。

デメリット2 自由に取り外しできない(装着時間を守る必要がある)

インビザラインのマウスピースは着脱式の装置であり、必要に応じて取り外すことができます。ただしこれは「何度も何時間でも自由に取り外しできる」わけではありません。インビザラインのマウスピースは1日20~22時間の装着が義務付けられており、そのルールを守らず好きな時に取り外していると、適切な治療効果が得られなくなります。

デメリット3 マウスピースを自分で管理する必要がある

ワイヤー矯正は、ブラケットと金属製ワイヤーを歯科医師が装着し、それ以降も患者さまが管理する必要性はありませんが、マウスピース矯正のインビザラインは着脱式の装置であり、取り外している時の管理や汚れの除去などはご自身で行っていただかなければなりません。

そうした着脱式の装置の自己管理が苦手な方にとっては、インビザラインは向かないかもしれません。

デメリット4 食事の時は取り外す必要がある

インビザラインのマウスピースは、食事の際に必ず取り外します。これはどちらかというとメリットの方が大きいのですが、間食の際にも取り外さなければならず、その都度、歯磨き、装置のお掃除というプロセスを挟むことになるため、デメリットとして感じる方もいらっしゃることでしょう。

「装置を外す、食事をする、歯磨きをする、装置を洗って再装着」といったサイクルが面倒になり、お菓子などを頻繁に食べることが少なくなる方も珍しくありません。その結果、虫歯や歯周病、口臭のリスクが減るだけでなく、ダイエットにもつながることもあるため、この点を一概にデメリットとは言い切れないでしょう。

▼勘違いしやすい留意点

インビザラインによるマウスピース矯正では、勘違いしやすいポイントがいくつかあります。矯正治療を始めてから後悔しないためにも、以下の点にご留意ください。

留意点1 歯を削ることもある

インビザラインでは、抜歯をせずに矯正できるケースが非常に多いです。健康な歯を抜かずに済むことは、患者さまにとって極めて大きなメリットと感じられると思います。

ただし、歯をきれいに並べるためのスペースがどうしても足りない場合は、IPR(ストリッピング)と呼ばれる処置を実施することがあります。IPRとは、歯の側面を少しだけ削る処置法で、複数本に施すことでまとまったスペースを確保できるようになります。その結果、抜歯をせずにインビザライン矯正を進めることが可能となるのです。

もちろん、健康な歯質を削ることにも抵抗を感じるかと思いますが、削る量というのは微々たるもので、処置を施したからといって歯の寿命が縮まったり、虫歯になりやすくなったりするようなことはありませんのでご安心ください。また、治療計画の立て方によっては歯を削る以外の方法でスペースを確保できることもあります。

留意点2 歯にアタッチメントを付けることもある

インビザラインによるマウスピース矯正の魅力は「シンプル」な点です。薄くて透明なマウスピースを装着するだけで理想の歯並びに近づけることができる点は、従来のワイヤー矯正にはない魅力です。ワイヤー矯正では、ゴツゴツとしたブラケットなども装着することになり、見た目だけでなく装着感も悪くなりがちです。ただ、勘違いしていただきたくないのは、インビザラインでもオプションとして専用のパーツを装着することがある点です。

具体的には「インビザライン・アタッチメント」と呼ばれるもので、歯科用プラスチックであるレジンの突起物を歯の表面に接着します。審美性を低下させることはありませんが、マウスピースとの密着性が高まるなど、装置の装着感を多少、左右することはありますのでご注意ください。また、アタッチメントが設置されている部分は清掃性が低下し、汚れもたまりやすくなります。

▼インビザラインのメリット

ここまで、インビザラインのデメリットに焦点を当てて詳しく解説してきましたが、いかがだったでしょうか。デメリットをしっかりと理解しておけば、いざ治療が始まっても後悔する可能性は低くなります。歯科医師からすると、インビザラインによる矯正治療を真剣に考えている方には、メリット・デメリット両方について正しく理解していただきたいものです。

ここではインビザラインのメリットについて説明していきます。インビザラインのメリットを知ると、より深くこの矯正法について理解できるかと思います。

メリット1 技術的に優れた矯正装置である

インビザラインは、マウスピースを装着するだけで歯の移動を行うことできます。出っ歯や受け口、乱ぐい歯など、さまざまな歯並びに対応可能であり、技術的に優れた矯正装置といえるでしょう。

メリット2 目立たない

インビザラインのマウスピース(アライナー)は、透明なポリウレタン製で、装着していても目立たないです。よほど近くで凝視されない限りは、矯正中であることに気付かれないでしょう。

メリット3 痛みが少ない

インビザラインのマウスピースでは1枚あたり0.25mm程度の距離、歯を移動できます。ワイヤー矯正ほどの強い力がかからないことから、歯の移動に伴う痛みも比較的少ないです。

メリット4 通院回数が少ない

一般的なワイヤー矯正では、1ヵ月に1回の通院が必須となっています。これはブラケットに固定されているワイヤーを調整する必要があるからです。一方、インビザライン矯正では最初の段階で治療のゴール地点までのマウスピースが完成しているので、こまめに調整する必要がありません。2ヵ月に1回くらいの頻度でご来院していてだき、経過を診ていくことになります。

メリット5 食事に制限がない(食事の時は取り外せる))

インビザラインでは、食事の際に装置を丸ごと外せることから、普段通りに好きなものを好きなだけ食べられます。ワイヤー矯正では、硬いものやネバネバしたもの色の濃いものなどを食べられないため、この点は大きく異なります。

▼まとめ

インビザラインというと、メリットばかりに注目が当たりがちなので、今回はあえてデメリットについて詳しく解説しました。インビザラインにも対応できないケースがあったり、マウスピースを自分で管理しなければならなかったりするなどの欠点がありますので、今現在、マウスピース矯正を検討中の方は参考にしてみてください。

もちろんインビザラインには多くのメリットがありますので、メリット・デメリット両方を正しく知ることが大切です。

インビザラインについてさらに詳しく知りたい方は、いつでもお気軽にエムデンタル矯正歯科・用賀までご相談ください。

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