大人になってからの歯列矯正は、いろいろな場面で不便を感じることがあるため「やめたほうがいい」というネガティブな話を耳にすることも多いです。今回はそんな大人の歯列矯正はやめたほうがいいと考えられる理由と対策について詳しく解説します。
▼「歯列矯正やめたほうがいい」の考えられる理由と対策
大人の歯列矯正はやめたほうがいいと考えられる主な理由は次のとおりです。対策も含めて参考にしていただけたらと思います。
理由1 治療期間が長い
一般的な歯列矯正は、すべての歯が治療対象となることから1~3年程度の期間を要します。例えば、セラミック矯正であれば2~3ヵ月程度で治療が終わりますので、比較するとかなり長く感じます。
【対策】
歯列矯正の期間の長さをデメリットと感じる場合は、歯並びの一部を治す「部分矯正」を選択すると良いでしょう。全ての症例で部分矯正が適用できるわけではありませんが、部分矯正なら3~12ヵ月程度で治療が完了します。マウスピース矯正(インビザライン)で治療することも可能です。
理由2 費用が高い
すべての歯が治療対象となる「全体矯正」は、ワイヤー矯正で1,000,000円前後、マウスピース矯正でも900,000円前後かかるのが一般的です。通常の歯科治療と比較するとかなり高額なため、この点を大きなデメリットと感じる方は少なくありません。
【対策】
大人の歯列矯正にかかる費用を少しでも抑えたい方は、マウスピース矯正の方がおすすめです。全体矯正(インビザラインフル)でも900,000円程度で治療が受けられ、部分矯正(インビザラインGo)なら400,000円程度まで費用を抑えられます。
デンタルローンを活用すれば、治療費を毎月少しずつ支払うことも可能です。また、大人の歯列矯正は医療費控除の対象となりますので、確定申告の際に申請することで経済的負担をさらに軽減できます。
理由3 噛み合わせが悪くなった
大人の歯列矯正では、矯正治療の結果として「噛み合わせが悪くなった」という話も耳にすることがあります。これは審美面だけを追求した歯列矯正で起こりやすいトラブルといえるでしょう。歯が持つ本来の機能は「噛む」ことであり、見た目だけ良くする歯列矯正はデメリットの方が大きくなります。
【対策】
歯列矯正の知識や経験の浅い歯科医師に治療を任せると、噛み合わせが悪くなるようなトラブルに見舞われやすいです。審美面と機能面をバランスよく回復できる矯正を実現するためには、それ相応の技術が必要となるからです。
歯列矯正の実績が豊富であったり、矯正の認定医の資格を持っていたりする歯科であれば、噛み合わせが悪くなるような治療を行うことはまずないといえます。
理由4 思ったとおりの仕上がりにならなかった
「カウンセリングの時に聞いていた話と違う」「思った通りの仕上がりにならなかった」こうしたトラブルは歯列矯正に限らず、すべての医療行為で起こりうることです。とくに歯列矯正は治療期間が数年にわたることから、仕上がりに満足がいかなかったときのショックはとても大きくなります。
【対策】
医師カウンセリングや治療説明を丁寧に行ってくれる歯科医師を選ぶことが何よりも大切です。これは仕上がりだけではなく、治療過程のすべてに影響することであり、歯列矯正の医院を選ぶ上で最も重要なポイントのひとつともいえます。
ただ、従来の矯正法ではカウンセリングの段階で治療のゴール地点を明確にイメージするのはなかなか難しいものです。そこでおすすめしたいのがマウスピース矯正のインビザラインです。インビザラインでは、歯が動いていく過程を3Dアニメーションで確認できるため、治療を始める前にゴール地点をイメージすることができます。
理由5 元に戻った
歯列矯正には必ず後戻りのリスクを伴います。数年かけて動かした歯が元の位置へと戻ってしまうのはあまりにも残念なことです。そうした歯の後戻りを経験した人は、間違いなく歯列矯正に対してネガティブな印象を持っていることでしょう。
【対策】
歯列矯正に伴う後戻りのリスクは、保定処置を受けることで回避することができます。リテーナーと呼ばれる装置を一定期間装着すれば、歯がその位置に固定されて後戻りしにくくなるのです。逆に、保定処置を省いてしまうとほとんどのケースで後戻りが生じます。保定処理を怠ると後悔することになりますので、必ず主治医の指示に従うようにしてください。
理由6 食事がしにくい
ワイヤー矯正では、歯の表面に金属のワイヤーとブラケットが設置されるため、普段通りに食事することが難しくなります。極端に硬いものや粘着性の高いものも口にできなくなるなど、食事にかかる制限に不満を感じる方は少なくありません。
【対策】
食事がしにくくなる点に不安がある方には、マウスピース矯正がおすすめです。インビザラインに代表されるマウスピース矯正なら、食事の際に装置を取り外すことができます。矯正中であっても好きなものを好きなだけ食べられ、普段通りの食生活を送れます。
理由7 見た目が気になる
ブラケットとワイヤーを歯列の表面に設置する表側矯正(ワイヤー矯正)は、装置が目立ちやすいです。笑った時に金属色がむき出しとなる点に不満を感じる方はたくさんいらっしゃいます。
【対策】
ワイヤー矯正でも、セラミック製のブラケットやホワイトワイヤーを選択することで、装置による審美性の低下はある程度和らげられます。
それでもなお、見た目が気になるという方には、ブラケットとワイヤーを歯列の裏側に設置する裏側矯正や透明なマウスピースを使うインビザライン矯正などがおすすめといえます。
理由8 通院が面倒
ワイヤー矯正では一般的に、1ヵ月に1回の通院が必須となります。これは歯に圧力を加える金属製のワイヤーを調整しなければならないからです。年間にすると12回程度の通院となりますが、それでもやはり通うのが面倒と感じる方はいらっしゃいます。
【対策】
マウスピース矯正のインビザラインでは、装置による治療を始める前にすべてのマウスピースが完成しているため、2ヵ月に1回程度の通院で矯正を進めることが可能です。この点は通院が面倒と感じる方にとって大きなメリットではないでしょうか。
▼歯列矯正が必要なケース
歯列矯正は、出っ歯、受け口、すきっ歯、乱ぐい歯、開咬(かいこう)、過蓋咬合(かがいこうごう)などの症状が見られるケースで必要となります。
詳しくはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。「歯列矯正が必要なケースとは?矯正治療が必要な歯並びを解説」
ご自身の歯並びがどれに当たるかよくわからないという方は、まずはお気軽に当院までご相談ください。
▼歯列矯正は何歳までできる?大人が始めるタイミングは?
歯列矯正は、顎の骨の成長が止まり、永久歯列が完成した方であれば誰でも受けることができます。
実際、当院にも40歳や50歳から歯列矯正を始める方もたくさんいらっしゃいます。ですから、「歯並びを治したい」と思ったその日が適切なタイミングといえるでしょう。
ただし、年齢を重ねると歯の本数が減ったり、全身の病気にかかったりすることもあるため、可能な限り早めに決断した方が良いといえます。
▼悪い歯並びを放置すると、どんな影響がある?
悪い歯並びを放置すると、次に挙げるようなデメリットが生じます。
・口元がコンプレックスになる
・歯磨きしにくく、虫歯や歯周病のリスクが上がる
・口臭が出やすくなる
・食べ物を噛みにくくなる
・発音に障害が現れる
こうしたデメリットやリスクを回避するためにも、悪い歯並びは早期に改善する方が望ましいです。
▼まとめ
今回は「大人の歯列矯正はやめたほうがいい」というネガティブな意見に関して解説しました。
確かに歯列矯正にはメリットだけでなくデメリットも伴うため、否定的な考えに至るお気持ちもよく理解できます。しかし、それぞれに対処法が用意されており、適切な方法で歯列矯正を受けることで満足のいく結果を得られます。とくにマウスピース矯正はデメリットの少ない矯正法となっており、多くの方におすすめできます。
当院でもマウスピース矯正(インビザライン)による歯列矯正が可能です。こちらのページで詳しく記載しておりますので、ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」