歯列矯正は比較的長い治療期間を要するため、できるだけ早く終わらせたい、と希望される方が多いです。歯並び全体を整える治療では、2~3年かかることも珍しくないことから、少しでも歯を早く移動させたいと思う気持ちはよく理解できます。

ただ、歯の移動のしやすさというのは、個人によって大きく変わることから、コントロールできない部分も多いことを知っておいてください。

今回は、歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴と動きにくい原因をわかりやすく解説します。

▼歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴

成長期の子供

矯正治療は“子供の頃に受けた方が良い”という話をよく耳にしますよね。これはある意味で正しいと言えます。小児矯正では、成長する力を利用して、顎の幅を広げたり、前後的な長さを伸ばしたりすることが可能なのです。

当然ですが、成長期が完了した年齢になると、そのような矯正を行うことは不可能となります。また、歯並びの乱れを細かく整える「歯列矯正」においても、若い人の方が有利と言えます。それは若い人の方が新陳代謝が優れているからです。

(当院では小児矯正も可能です。お子さまの歯並びが気になりましたら、まずはご相談ください。当院の小児矯正については、こちらをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」)

・新陳代謝が良いとなぜ歯が動きやすいの?

私たちの歯は歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる硬い骨に埋まっています。それを人為的に動かすのが歯列矯正ですが、とにかく強い力をかければ良いというものではありません。早く歯を動かしたいからといって、極端に強い力をかけると歯が折れたり、抜けたりします。

そこで重要となるのが「骨のリモデリング」という現象です。歯を安全に動かすためには、骨の吸収と再生がバランス良く起こる必要があるのです。その際、関係するのが新陳代謝です。新陳代謝が活発な若い人ほど、骨のリモデリングも起こりやすくなり、歯もスムーズに移動していきます。

歯並びの症状が軽い

歯並びや噛み合わせが悪い状態を歯列不正(しれつふせい)や不正咬合(ふせいこうごう)と言います。そうした歯列不正や不正咬合の症状が軽いと、矯正治療が完了するのも早くなります。

ちなみに、歯列不正・不正咬合の重症度というのは、一目見て判断できるものではありません。精密な検査を行った上で歯科医師が診断を下すものなので、自己判断はせず、まずは専門家に相談しましょう。

▼歯列矯正で歯が動きにくい要因

歯列矯正で歯が動きにくい場合、次に挙げるような要因が背景に隠れていることが多いです。

舌癖がある

舌を前方に突き出す「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」や舌を歯列の一部分に押し付ける癖などがあると、歯が動きにくくなります。矯正装置によって適切な矯正力が働いていたとしても、舌の力によってそれが邪魔されるからです。

そのため舌癖がある人は、矯正前に改善しておくのがベストといえます。矯正装置による違和感や歯の移動に伴う痛みで舌癖が出てしまうこともありますので、矯正中の方は普段から注意するようにしましょう。

噛む力が強い

私たちが噛む力はとても強いです。男性なら60~100kg程度の力が発生するため、歯に与える影響も大きくなります。特に矯正中は噛み合わせが安定しないので、特定の歯や顎の骨に過剰な負担がかかり、歯の移動を妨げることがあります。歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖も歯の移動を遅らせる原因になります。

歯と骨が癒着する「アンキローシス」

上述したように、歯は歯槽骨という硬い骨に埋まっているのですが、厳密には「歯根膜(しこんまく)」という軟らかい組織が周りを覆っています。歯根膜は歯にかかる圧力を緩和するクッションのような役割を担った組織です。

何らかの理由でその歯根膜を介在せず、歯と骨が直接、結合する現象を「アンキローシス」といいます。アンキローシスが起こると、歯の移動が妨げられます。しかし、矯正治療が不可能というわけではありませんので、ご安心ください。

▼歯列矯正の治療期間

歯列矯正の治療期間は、歯並びの状態や矯正する部位、選択する治療法などによって変動します。

マウスピース矯正(インビザライン)の治療期間

マウスピース矯正の治療期間は、全体矯正で1~3年、部分矯正で3~12ヶ月程度です。治療期間に幅があるのは、ケースによって歯を移動する距離などが異なるからです。

歯を移動する動的治療が完了したら、後戻りを防止するための保定処置へと移行します。リテーナーと呼ばれる装置を用いて、歯の位置を固定する処置で、動的治療と同程度の期間を要します。

ワイヤー矯正の治療期間

マルチブラケットと金属製のワイヤーを用いるワイヤーもマウスピース矯正と同様、全体矯正で1~3年、部分矯正で3~12ヶ月程度の期間を要します。保定に関しても、基本的にはマウスピース矯正と同じです。

▼歯列矯正を早く終わらせるためにできること

ここまで、歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴と動きにくい原因について解説してきましたが、歯列矯正を早く終わらせるためにできることがありますので、解説していきます。

歯科医院選びが重要

歯列矯正は、歯科の中でも極めて専門性の高い分野です。歯科医師免許を持っていれば誰でも矯正治療を行えるのですが、得られる結果はそれぞれの歯科医師の技術や経験、知識によって大きく変わります。

歯列矯正を正確かつ早く終わらせたい人は、歯科医院選びを慎重に行いましょう。以下に挙げるポイントに配慮することで、より良い歯科医院を見つけやすくなります。

・歯列矯正の診療実績が豊富

歯科医師の技術は、経験を積むことによって向上していきます。歯列矯正の診療実績が豊富であれば、いろいろな症例に当たっている可能性も高く、歯を効率良く移動する方法も知っている可能性は高いでしょう。もちろん、診療実績の数がすべてではありませんが、多いに越したことはないのです。

・先進の設備が整っている

歯科医師の技術によって歯列矯正の効率を上げられる範囲には限界があります。そこでもうひとつ着目していただきたいのが歯科医院の設備です。

例えば、インビザラインなら、iTero(アイテロ)のような光学3Dスキャナーや専用のシミュレーションソフトを導入することで、矯正治療の精度や速度を向上できます。そうした先進の医療機器は、歯列矯正を早く終わらせることに大きく寄与します。

歯科医師の指示に従う

歯列矯正を早く終わらせる上で最も重要なのは、歯科医師の指示に従うことです。インビザラインであれば、

「1日20時間以上という装着時間を厳守する」
「マウスピースを適切なスケジュールで交換する」
「歯や装置に異常が認められたら必ず主治医に連絡する」

こうしたルールは、治療前に歯科医師から説明があるかと思いますので、その指示に従うようにしてください。ちなみに、矯正治療中に虫歯になると、治療期間が大きく延長されることがありますので十分ご注意ください。

まとめ

説明してきたように、歯の動きやすさは人によって差があります。今回ご紹介した歯列矯正の治療期間はあくまで目安であり、それぞれの状況によって前後する点にご注意ください。

矯正治療を早く終わらせたいというお気持ちは分かりますが、そのためのスペシャルな方法があるわけではなく、地道ですが装着時間などの治療のルールを守ることが何より重要です。

当院でも光学3Dスキャナーとシミュレーションソフトを導入しております。歯列矯正をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

当院の矯正歯科については、こちらのページをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)