メディカルノート2022.09.27

歯並びの乱れを整える歯列矯正は、長い期間が必要となる治療として有名です。標準的には1~3年程度かかるため、どれくらいで歯並びの変化が実感できるようになるのか気になる方も多いでしょう。今回は、歯列矯正における歯並びの変化について詳しく解説します。
▼歯並びの変化を実感するのは、いつごろ?
数日間で変化を実感することはない
私たちの歯は、歯槽骨(しそうこつ)という硬い骨に埋まっているため、そう簡単に動かすことはできません。無理に動かそうとして強い力を加えれば、歯根が折れたり、歯槽骨が割れたりしてしまうでしょう。
ですから、歯列矯正を始めて数日間で歯並びの変化を実感することはありませんのでご注意ください。歯並びの状態によっては、1ヵ月経っても目に見える変化が現れないことも多々あります。
3~6ヵ月で変化を実感
矯正による効果は個人差が大きく、どれくらいで歯列の変化を実感できるかも一概に語ることが難しいです。10~20代は歯が動きやすく、治療開始から3ヵ月程度で歯並びの変化を実感できることもありますし、歯が動きにくい人やもともと歯並びがそれほど悪くない人は6ヵ月程度経ってようやく変化が見受けられることもあります。
いずれにせよ歯の移動は皆さんが考えている以上にゆっくりとしたものなので、焦る必要はありません。日々の変化を気にし過ぎると不要なストレスを抱えることになってしまいます。
▼歯並びは1カ月でどれくらい変化する?
1ヵ月に0.5mmくらいが標準
歯列矯正は、マウスピース型矯正装置とマルチブラケット装置の2つに大きく分けられますが、歯が動く速度にそれほど大きな違いは見られません。
2週間に1回くらいの頻度でマウスピースを交換するインビザラインは、1枚で0.25mm程度、歯が動きます。1ヵ月に換算すると0.5mmですね。1ヵ月に1回調整を加えるワイヤー矯正も、歯が動く距離は月間で0.5mm程度です。
つまり、歯を3mm程度動かすのに半年かかるのが歯列矯正なのです。もちろん、ケースによっては1ヵ月で1mm移動することもありますので、上述した数値はあくまで参考程度にとどめてください。
▼治療ステップによって、変化を実感しにくい時期がある
歯列矯正でいつから歯並びの変化を実感できるのか気になっている方は、標準的な治療ステップについて知っておくと良いです。治療ステップによって、矯正の効果を実感しやすい時期としにくい時期があるからです。
ここでは、抜歯するケースを挙げて説明していきます。
STEP1 全体的なデコボコをある程度並べる【変化:大】
歯列矯正ではまず全体的なデコボコをある程度ならしていきます。歯列矯正においてはこの時期が最も効果を実感しやすいといえます。とくに乱ぐい歯のような1歯1歯が別々の方向を向いているようなケースでは、ご自身の歯並びが良くなっていく過程に感動されることでしょう。
STEP2 犬歯を後ろに下げる【変化:中】
スペースの不足が原因で小臼歯を抜歯した症例では、犬歯を後ろに下げるプロセスが入ります。前から4番目の小臼歯はだいたい7~8mmあるため、犬歯をかなりの距離を移動させることになります。このプロセスが歯の移動を実感する上で最もわかりやすいかもしれません。ただ、全体の歯並びには大きな変化が見られないので、患者様の満足感はそれほど高くないかもしれません。
STEP3 抜歯スペースの閉鎖【変化:大】
犬歯を適切な位置まで下げたら、抜歯によって得られたスペースを全体で消費していきます。歯並びが全体に影響を与えるプロセスであるため、比較的大きな変化を実感できることでしょう。
STEP4 歯列全体の微調整【変化:小】
最後に、歯並び全体を細かく調整していきます。この段階で歯列はほぼ完成しているので、目に見える効果は期待できません。
STEP5 保定処置【変化:無】
歯を動かす動的治療が終わったら、後戻りを防止するための保定処置に移行します。リテーナーと呼ばれる専用の装置を装着して、いつまでも美しく、機能的な歯並びを維持できるよう歯の位置を固定します。保定は歯列の状態を維持するための処置なので、歯並びに変化は見られません。
このように、歯列矯正では治療の効果を実感しやすい時期と実感しにくい時期があります。
▼歯列矯正の治療期間はどれくらいかかる?
ここまでは歯列矯正でいつから効果を実感できるのかについて解説してきましたが、全体的な治療期間についてもお伝えします。
歯を動かすのに1~3年程度
上下の歯並び全体を治す標準的なケースでは、歯を動かすのに1~3年程度かかります。抜歯が必要ないケースは1~2年、抜歯が必要なケースは2~3年といった感じでしょうか。とても長い期間に感じるかと思いますが、矯正によって得られる歯並びは何にも代えがたい財産となりますので、頑張って最後までやり遂げましょう。ちなみに、マウスピース型矯正装置でもマルチブラケット装置でも歯列矯正にかかる期間に大きな差は見られません。
(歯列矯正に必要な治療期間については、こちらで詳しく解説しています。「歯列矯正に必要な期間とは?矯正の種類別に治療期間の目安を解説」)
▼歯が動きやすい人とは?
今回のテーマである「どれくらいで歯並びの変化を実感できるか」という観点では、歯の動きやすさという視点も加えておく必要があります。まったく同じ矯正装置を使っても、歯が動く速度に大きな違いが見られることも珍しくないからです。具体的には、以下に挙げるような人は歯が動きやすいといえます。
(こちらの記事で詳しく解説しています。「歯列矯正で歯が動きやすい人の特徴と動きにくい原因を解説」)
成長期の子ども
発育途上にある子どもは、骨がやわらかいだけでなく、骨代謝も活発なので、基本的に歯が動きやすいです。成長が終わった20代でも比較的歯は動きやすいといえます。
代謝が活発な人
年齢にかかわらず、身体の代謝が活発な人は、矯正による歯並びの変化も感じやすいといえます。矯正では「骨の吸収と添加」というサイクルを繰り返すことで歯が移動するため、代謝が活発なほど歯の移動速度も上がります。
悪習癖がない人
歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖があると、矯正治療に悪影響が及びます。矯正装置による圧力が弱められたり、まったく別の方向に力が加わったりすることで、歯の移動がなかなか進まないことがあるのです。そうした悪習癖がなく、矯正力がスムーズに伝わるようなケースであれば、比較的歯も動きやすいです。
▼マウスピース矯正(インビザライン)ならではの、変化を実感するポイント
マウスピースを交換する時
マウスピース矯正のインビザラインでは、2週間に1回くらいの頻度で装置を交換します。上でも述べたように1枚のマウスピースで移動できる歯の距離は0.25mm程度なので、1ヵ月くらいで大きな変化を実感することはありませんが、ワイヤー矯正よりも治療の成果を確認しやすいといえます。なぜなら、ワイヤー矯正では常時ブラケットとワイヤーが設置されており、歯並びの変化を実感しにくい構造となっているからです。
一方、インビザラインはマウスピースを着脱した際に歯並びをしっかり確認することができます。しかも、次のステージに移行した際、マウスピースがきつく感じるということは、歯が移動した証拠でもあり、2週間に1回は治療の成果を実感できるのです。もちろん、歯並びの見た目に関してもマウスピースを交換する時にある程度、変化を実感できるでしょう。
▼まとめ
このように、歯列矯正では治療を開始して3~6ヵ月くらいで歯並びの変化を実感できるようになります。一般的な歯科治療と比べるとかなり長くなっていますが、これは歯列矯正の性質上、仕方のないことです。
歯列矯正に伴う歯並びの変化についてさらに詳しく知りたい方は、いつでもお気軽にエムデンタル矯正歯科までご相談ください。いつから、どのくらいの期間で歯の移動を実感できるかは個人によっても大きく異なるため、まずは矯正医によるカウンセリングを受けましょう。
当院の矯正治療については、こちらのページで詳しく記載しております。ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.08.23

歯並びの乱れを整える歯列矯正は、不快症状に見舞われることも少なくありません。とくに痛みに関しては、不安に感じている方も多いようです。そこで今回は、歯列矯正の痛みの原因や継続時間、対処法などについて詳しく解説します。
▼矯正治療で「痛い」原因と対処法
矯正治療で痛いと感じる原因は、いくつか考えられます。
原因1 歯が動いている
歯列矯正は、マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を装着して、歯を人為的に動かす治療です。歯はとても硬い顎の骨にしっかり埋まっており、任意の場所に移動させるためにはそれなりに強い力をかけなければなりません。その際、歯の周りではケガをした時と同じような炎症反応が起こることで痛みも感じます。
【対処法】
矯正中の歯の移動に伴う痛みは、基本的に対処することができません。上述したように、歯を移動させる際にはそれなり圧力がかかるため、ある程度の痛みは避けられないのです。
ただし、歯の痛みが極端に強い場合は、主治医に相談しましょう。刺激への感受性には個人差があり、標準的な矯正力に対しても強い痛みを感じる方もいらっしゃいます。そうしたケースでは、細いワイヤーを使うなどして痛みに配慮しながら治療を進めていくことが望ましいです。治療期間は長くなるかもしれませんが、痛みを抑えながら歯並びを整えていくことが可能となります。
原因2 矯正装置が口内に当たっている
歯そのものではなく、歯茎や頬の内側の粘膜、舌などが痛い場合は、矯正装置の不備が疑われます。ワイヤー矯正で用いられるブラケットの位置が悪かったり、ワイヤー自体が外れてしまったりすると、お口の粘膜を刺激して痛みを生じさせます。
その状態が長く続くと口内炎が出来て、痛みが助長されます。頬の内側が大きく腫れると、今度は誤って粘膜を噛んでしまう「誤咬(ごこう)」が起こりやすくなるため要注意です。いずれも本来は矯正に伴うことのない痛みなので、根本的な原因を取り除き、症状を改善することが必要です。
【対処法】
矯正装置が口内に当たっていて痛みが生じている場合は、主治医に相談することが大切です。ブラケットやワイヤーが当たって痛いということは、矯正装置に不備があることを意味しますので、早急に調整してもらいましょう。
特にワイヤー矯正で用いられるマルチブラケット装置は、ワイヤーや結紮線(けっさつせん)と呼ばれる留め具が粘膜を刺激しやすく、細かい調整が必要となります。
原因3 食事をするとき
矯正治療中は、食事をするときに痛みを感じることも多いです。これも歯の移動に伴う痛みとほぼ同じ理由で、不快症状が生じます。矯正中は歯に対して常に圧力がかかっている状態であり、炎症反応が生じています。歯の根の周りに存在している歯根膜(しこんまく)というセンサーも普段より敏感になっているのです。
歯根膜は普段、食べ物の硬さなどを感知して、噛む力を精密にコントロールしてくれているのですが、矯正装置による圧力で外からの刺激に敏感となっており、少し噛むだけでも強い痛みが生じます。これは歯に適切な矯正力が働いている証拠でもあるため、不安に感じる必要はありません。ただし、痛みがあるのに無理して硬いものなどを噛むと、炎症が強くなって深刻な症状へと発展することもありますので、その点は上手にコントロールするようにしてください。
【対処法】
食事をするときに痛みを感じる場合は、できるだけ噛まずに済む食品を選ぶようにしてください。矯正による痛みはいつまでも続くものではないので、ワイヤー矯正の場合少なくともワイヤーを調整した数日間は、あまり噛まずに済む食事を心がけるようにしてください。
どのくらいの軟らかさなら痛くないのかはケースによって異なりますので、患者さまそれぞれで模索していくと良いでしょう。ただ、無理して硬いものを噛むと歯の周りに炎症反応が起こるため、その点は十分にご注意ください。
▼歯列矯正の痛みは、いつまで続く?
ここまで、歯列矯正に伴う痛みについて解説してきましたが、これから矯正を始めようか考えている人は不安を感じてしまったかもしれませんね。というのも、歯列矯正における痛みは避けることができず、ある程度は我慢しなければならないものだからです。けれども、その痛みは矯正期間中いつまでも続くものでもありませんのでご安心ください。
ワイヤーを調整してから3~4日がピーク
ワイヤー矯正では、1ヶ月に1回くらいの頻度でワイヤーを調整します。具体的には、ワイヤーを曲げて矯正力を付与するのですが、3~4日もすればその力が消費されていきます。
装置による痛みのピークもそれくらいの時期にやってくるため、残りの期間は比較的安静に過ごすことが可能です。厳密には10~14日くらいまで痛みや違和感が残るものの、不快症状に悩まされるのはワイヤーを調整した後の1週間程度となっています。もちろん、こうした痛みの度合いや継続時間はケースによって大きく異なることから、あくまで目安程度にとらえていただけたら幸いです。
▼痛みが我慢できない場合、痛み止めを飲んでもいい?
ワイヤー矯正では、装置の状態や患者さまの体調によって我慢できないほどの痛みが生じることもあります。そんな時は市販の痛み止めを飲んでいただいて問題ありません。普段から使用している鎮痛剤を用法・用量を守った上で服用しましょう。ただ、矯正の痛みは、虫歯などに由来する歯痛(しつう)とは少し痛みの種類が異なるため、痛み止めの効果も弱くなりがちです。
また、痛み止めは炎症反応を抑える作用を持っており、頻繁に服用していると矯正治療の妨げとなる場合がある点にも注意が必要です。なぜなら、歯列矯正では歯周組織に適度な炎症反応を起こして歯を移動させる治療法だからです。歯が進む方向の骨が溶け、歯がもともとあった位置の骨が再生される「骨のリモデリング」現象は、炎症反応を伴わなければ進んでいきません。
▼マウスピース矯正(インビザライン)の方が痛みは少ない
このように、歯列矯正には「歯の移動に伴う痛み」「矯正装置が当たることによる痛み」「食事で噛んだ時の痛み」を伴い、人によっては痛み止めが必要になるほど強い痛みが現れることもありますが、それはあくまでワイヤー矯正に当てはまることです。
実は、同じ歯列矯正でもマウスピース矯正(インビザライン)は治療に伴う痛みが少ないのです。
(インビザラインとワイヤー矯正を比較したい方は、こちらの記事もご覧ください。「インビザラインとワイヤー矯正、どっちがいいの?メリット・デメリットを比較して解説」)
弱い力で確実に歯を移動させる
マウスピース矯正は、マウスピースを装着することで歯列全体に矯正力が働きますが、その力はワイヤー矯正よりも弱いです。インビザラインであれば、マウスピース1枚当たりで動かせる歯の距離は0.25mm程度であり、弱い力で少しずつ確実に歯を動かすのがマウスピース矯正の特徴と言えます。
それは食事で食べ物を噛んだ時の痛みの軽減にもつながります。(マウスピース矯正(インビザライン)では、食事をする際は矯正装置は取り外します)ですから、歯の移動に伴う痛みを極力減らしたいという方には、マウスピース矯正(インビザライン)がおすすめです。
装置による口内への刺激が少ない
インビザラインで用いるマウスピースは、厚みが0.5mm程度しかありません。表面も滑らかな形状で、歯列にフィットするよう設計されることから、歯茎や頬の内側の粘膜を傷つけるリスクもなく、ワイヤー矯正のような頻繁な装置の調整が必要となるトラブルも起こりにくいです。
▼まとめ
今回は、歯列矯正に伴う痛みについて解説しました。ひと言で歯列矯正と言っても、装置の種類によって治療に伴う痛みの程度も大きく変わります。矯正治療に伴う痛みについてさらに詳しく知りたい方は、いつでも当院までご相談ください。どんな質問・疑問にもお答えします。
当院の矯正治療については、こちらのページで詳しく記載しております。ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.08.23

歯列矯正は医療の一環であり、歯並びや噛み合わせに“異常”や“病気”が認められる場合に限り、必要性が生じますが、一般の方からするとどのようなケースがそれに該当するのかよくわからないことかと思います。
そこで今回は、歯列矯正が必要なケースについて、具体的な歯並びの種類なども挙げながら詳しくご説明します。
▼矯正治療が必要なケース
次のような症状や悩みを抱えている場合は、矯正治療が必要となりやすいです。
1 歯並びにコンプレックスがある
日本人は、歯並びにコンプレックスを抱えている方がとても多いです。それは出っ歯や乱ぐい歯であることが多く、口元を見られるのが恥ずかしいと感じる方が少なくないからです。しかも歯並びは、自力で治せるものではないため、長年のコンプレックスとなりやすいです。
そうした方には是非とも、歯並びの異常を根本から改善することができる歯列矯正を受けていただきたいです。歯列矯正であれば、口元の審美的な問題も根本から解決できることが多いです。
2 虫歯や歯周病になりやすい
悪い歯並びは、虫歯や歯周病のリスクを上昇させます。特に歯並びがガタガタになっている場合は、歯ブラシをきちんと当てることが難しいため、ブラッシングにもムラが生じてしまい、歯垢や歯石の形成が目立ちます。
それらは細菌の温床となることから、虫歯や歯周病にかかりやすくなるのです。もちろん、歯並びがきれいでも口腔ケアが不十分な場合は虫歯・歯周病のリスクが上昇するため、いずれにせよ一度、歯医者さんを受診するのが望ましいです。
3 噛み合わせが悪い
「歯並び」と「噛み合わせ」は異なるものです。歯並びはどちらかというと見た目の問題であり、噛み合わせは歯が持つ本来の機能である「噛む」ことと密接に関連しています。ですから、前歯がきれいに並んでいても、噛み合わせに大きな異常があって歯列矯正の必要性が出てくるケースもあるのです。
普段から食べ物を噛みにくいなどの症状に悩まされている方は、歯医者さんで噛み合わせの検査を受けてみましょう。矯正歯科であれば、歯列矯正が必要かどうかも判断できます。
4 身体に影響が出ている
歯並びや噛み合わせの異常によって、身体に何らかの悪影響が出ている場合も矯正治療が必要となります。具体的には、頭痛、肩凝り、顎の痛み、消化管の異常などは、間接的に歯並びや噛み合わせの異常が関係していることもあります。
▼矯正治療した方がいい歯並び
次に挙げるような歯並び・噛み合わせの症状が認められる場合は、矯正治療を行った方が良いと言えます。
1 出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前に出ている歯並びで、一般的には出っ歯、専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。
日本人に比較的多い歯並びで、“口ゴボ”(くちごぼ)と表現されることもあるように、見た目があまり良くありません。前歯で食べ物が噛み切りにくかったり、口呼吸が促されたりするなどのデメリットも伴います。
2 乱ぐい歯(叢生)
1本1本の歯が別々の方向を向いている歯並びで、歯列がデコボコになっています。専門的には叢生(そうせい)と呼ばれ、こちらも日本人に比較的多い歯並びと言えます。
見た目が良くない、歯磨きしにくい、汚れがたまって口臭が強くなりやすいなどのデメリットがあります。上下の歯列が正常に噛み合わないことも多いです。
3 すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間には本来、デンタルフロスが通るくらいのすき間しかありませんが、肉眼でわかるほどのスペースが見られる歯並びをすきっ歯、専門的には空隙歯列(くうげきしれつ)といいます。
歯と歯の間に不要なスペースがあると、食べ物が詰まりやすくなったり、息漏れが生じて発音が悪くなったりします。上の前歯の真ん中にすき間があるケースを特に正中離開(せいちゅうりかい)と呼び、口元の審美性を低下させる要因にもなります。
4 深い噛み合わせ(過蓋咬合)
噛み合わせが深い歯並びを過蓋咬合(かがいこうごう)と呼びます。歯と歯が異常な形で接触することから、歯の摩耗や歯茎の炎症などを引き起こしやすくなります。噛んだ時の力が奥歯に集中することで、臼歯の寿命が短くなることもあります。
5 開咬(かいこう)
奥歯を自然に噛んだ時に、上下の前歯の間にすき間が生じる歯並びです。食べ物を前歯で噛み切れない、口呼吸が促される、発音障害が認められるなど、さまざまなデメリットを伴う歯並び・噛み合わせの異常です。
6 受け口(下顎前突)
下の前歯が前に突出している歯並びで、専門的には下顎前突(かがくぜんとつ)といいます。
歯を噛み合わせた時に、通常上の歯が前になりますが、受け口の場合は下の歯が前になります。噛み合わせが悪く、歯や歯肉を傷つけたり、食べ物がよく噛めなかったりします。また、顎がしゃくれているように見えるため、顔貌のコンプレックスになりやすいです。
▼キレイな歯並びの基準
歯並びの美しさの基準としては「Eライン」が用いられます。鼻の先と顎の先を結んだ線をE(エステティック)ラインと呼び、真横から見てそのラインと口唇の位置関係で、審美的な評価を下します。
日本人においては、口唇がEラインの少し内側にあるくらいがキレイな歯並びと言えます。歯列矯正では、そうしたキレイな歯並びの基準も参考にしながら治療を進めていきます。
▼悪い歯並びや噛み合わせを放置するとどうなる?
悪い歯並びや噛み合わせを治療せずに放っておくと、次のようなことが起こります。
1 物事に消極的になる
悪い歯並びや噛み合わせがコンプレックスとして定着すると、性格が内向的になりがちです。人前で話したり、笑ったりすることが苦手となり、物事に消極的になる人が多いようです。
2 歯の寿命が縮まる
乱ぐい歯のような清掃性が悪い歯並びを放置すると、歯垢や歯石がたまり、虫歯や歯周病を発症します。これらは日本人が歯を失う主な原因なので、自ずと歯の寿命も縮まります。
また、噛み合わせに異常があると、一部の歯に過剰な負担がかかって寿命を縮めるというケースもあり得ます。
3 顎関節症になる
咀嚼(そしゃく)運動の支点となるのは顎関節です。悪い歯並びや噛み合わせでは、咀嚼運動を効率良く行うことができず、必要以上の力を使う場面が多くなります。そのしわ寄せは支点となっている顎関節におよび、顎の炎症や痛みを誘発する顎関節症を引き起こすのです。
4 胃腸への負担が増える
歯並び・噛み合わせの異常で咀嚼(そしゃく)能率が低下すると、しっかりと噛み砕けていない状態で食べ物を飲み込むことになるため、胃や腸の負担が大きくなります。栄養を吸収する効率も低下し、全身の健康状態にも良い影響はありません。
▼歯列矯正の種類
ここまで解説してきた歯並び・噛み合わせの異常は、歯列矯正によって改善することが可能です。2つの矯正方法をご紹介します。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正(インビザライン)の比較については、こちらの記事で詳しく解説しています。治療期間や費用などを比べて検討したい方はぜひご覧ください。「インビザラインとワイヤー矯正、どっちがいいの?メリット・デメリットを比較して解説」
ワイヤー矯正
最も標準的な歯列矯正で、金属製のワイヤーとブラケットという四角い装置を歯の表面に設置して歯並びをきれいに整えます。
マウスピース矯正(インビザライン)
透明な樹脂製のマウスピースを装着して歯並びをきれいにする方法です。装置が目立ちにくく、痛みの少ない矯正法と言えます。
▼まとめ
今回は、歯列矯正が必要となるケースについて解説しました。ご自身の歯並びや噛み合わせの症状で気になることがあれば、いつでも当院までご相談ください。特に今回取り上げた歯並びに当てはまる場合は、歯列矯正の必要性が高いと言えますので、まずはカウンセリングを受けてみることをおすすめします。
当院の矯正歯科については、こちらのページで詳しく記載しております。こちらもぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.07.15

出っ歯や受け口など歯並び全体に異常があるわけではないけれど、歯の傾きや位置の異常など1本だけ気になる歯がある、といった場合に矯正することは可能なのでしょうか。歯1本だけを矯正できるのであれば、治療にかかる費用が安く抑えられ、治療期間も短いのではないかと想像できるので、気になる方も多いでしょう。
今回は、歯並び1本だけを治したい場合に選択できる治療法をご紹介します。
▼歯並びを1本だけ治すことはできる?
結論から言うと、歯並び1本だけを矯正治療によって治すことは十分可能です。実際、当院では歯並び1本だけを治したいという患者さんに対して、歯列矯正を実施しております。
ただ、本当に1本だけを治す場合と、その周囲の歯並びも併せて部分的に矯正する場合とがあり、どちらが適しているかは歯並びの状態によって異なります。
▼1本だけだから自力で治すことはできない?
例えば、前歯が1本だけ前方に傾いていて、その他の歯が正常であれば、1本だけを自力で治せないかと考える方も多いでしょう。
けれども実際は、1本だからといって自力で歯並びを治すことはできません。矯正に関する専門的な知識と、特別な器材や装置がなければ、たった1本の歯でも自力で治すことは不可能なのです。前歯や奥歯の歯並びの乱れを自力で強引に治そうとすると、歯や歯茎を傷めたり、歯並びが余計に悪くなったりするため、絶対におすすめすることはできません。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。「自力で歯並びは治せるのか!?自力で治すリスクと矯正方法」
▼歯並びを1本だけ治す方法
歯並びを1本だけ治す矯正法としては、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つが挙げられます。それぞれのメリット・デメリットや治療の特徴は次の通りです。
(インビザラインとワイヤー矯正の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。「インビザラインとワイヤー矯正、どっちがいいの?メリット・デメリットを比較して解説」)
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットとワイヤーを設置して歯を移動させる矯正法です。適応範囲が広く、前歯1本や奥歯1本の部分矯正にも対応可能です。歯を3次元的に移動することが得意であり、前歯が1本だけ歯列から大きく逸脱しているようなケースも問題なく治せることが多いです。その一方で、金属製の装置が目立ちやすい、装置が唇や頬の内側の粘膜に当たって痛い、装着時の違和感・異物感が大きい、歯磨きしにくいなどのデメリットを伴います。
ちなみに、ワイヤー矯正で歯を1本だけ矯正する場合でも、ブラケットは複数の歯に装着しなければなりませんので、ワイヤー矯正で歯全体を矯正する場合ととほぼ同等のデメリットを伴うと言えます。治療にかかる費用はケースによって変わりますが100,000~400,000円程度に設定している歯科医院が多く、治療期間は3~6ヶ月くらいが一般的といえます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使って歯並びの乱れを整える矯正法です。装置が目立ちにくく、装着感も良好であり、食事や歯磨きの際に取り外せるというメリットがあることから昨今、人気が高まっています。歯並びを1本だけ治したい場合にも適応できます。
マウスピース矯正のデメリットとしては、ワイヤー矯正ほど適応範囲が広くない点が挙げられますが、歯並び1本だけ治すのであれば、両者にそれほど大きな差は無いと言えます。その他に、マウスピース矯正には装置の装着時間を自分で管理しなければならないことと、どの矯正歯科でも対応しているわけではないことがデメリットとして挙げられます。
歯並び1本だけをマウスピース矯正で治す場合は、歯並びの状態や選択する矯正システムによって費用も大きく変わります。一般的には450,000円前後の値段に設定している歯科医院が多いです。治療にかかる期間は3~6ヶ月程度です。
▼セラミック矯正でも、「歯並びを1本だけ」治すことは可能?
歯並び1本だけ治したい方には、「セラミック矯正」もひとつの選択肢としてご提示できます。
セラミック矯正とは?
セラミック矯正とは、セラミック製の被せ物を作って、歯の傾きや位置の異常、大きさ形態のアンバランスを改善する治療法です。“矯正”という名前が付けられていますが、いわゆる歯列矯正とは根本的に異なる治療法です。なぜなら、セラミック矯正では歯を移動することがないからです。
セラミック矯正のメリット
セラミック矯正は、歯を移動する治療法ではないため、治療にかかる期間が比較的短く、1ヶ月程度で終わることもあります。また、一般的な矯正治療のような装置を装着する必要もありません。ですから治療期間中、装置による痛みや不快感に悩まされることもなく、快適に歯並びを改善できます。
しかもセラミック矯正はセラミック製の被せ物を装着する治療なので、歯並びだけでなく、歯の形や色、大きさまで理想に近づけることが可能なのです。これらはワイヤー矯正やマウスピース矯正にはないメリットといえます。
セラミック矯正のデメリット
セラミック矯正は、歯を動かして歯並びを治す方法ではないため、出っ歯などの症状を根本から改善することはできません。あくまで歯に被せ物を装着して、見た目だけを良くする治療であることを忘れないでください。
また、セラミックの被せ物を装着するためには、治療の対象となる歯を削らなければならず、その点を大きなデメリットと感じる方が多いようです。ただ、セラミック矯正においても適切な方法で被せ物を装着することから、治療後に虫歯リスクが大きく上昇することは無いでしょう。
▼インビザラインでも部分矯正が可能
マウスピース矯正といえば、まず「インビザライン」を思い浮かべる方が多いことかと思います。これまで世界で1,200万人以上の人が歯並びを治してきた方法であり、インビザラインならではのメリットもたくさんあります。
それだけに、マウスピース矯正で歯並びを1本だけ治せるのであればインビザラインで治したい、と思われることでしょう。もちろん、インビザラインでも歯並び1本だけの部分矯正は可能です。
インビザラインで部分矯正できるケースとは?
インビザラインの技術は年々進歩しており、ほとんどのケースに対応することが可能です。例えば、前歯1本が前方に傾いていて出っ歯の症状が認められるケースなどは、インビザラインで部分矯正できます。
歯の位置の異常が大きかったり、抜歯をしてスペースを作り、歯を大きく移動しなければならなかったりするケースには、ワイヤー矯正の方が適していることもありますので、まずは精密検査を受けることをおすすめします。
部分的なマウスピース矯正(インビザラインGo)
歯全体の矯正を行うマウスピース矯正を「インビザラインフル」と呼び、部分的なマウスピース矯正は「インビザラインGo」というシステムが提供されています。当院ではどちらにも対応しておりますので、関心のある方はお気軽にご相談ください。初診の相談は無料で承っております。
▼まとめ
今回は、歯並び1本だけを治したい場合の治療法について解説しました。歯1本だけであっても自力で治すことは不可能ですが、歯全体を矯正するよりも短い期間で歯列矯正を完了することが可能です。費用も全体矯正より安く済むので、1本の歯だけ傾きや位置が気になるという方は、まずは矯正歯科でご相談されてみてはいかがでしょうか。
当院の矯正治療については、こちらのページで詳しく記載しております。ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.07.14

今現在、虫歯がある人、もしくは過去に虫歯治療を受けていて再発するリスクが高い人は、そのまま歯列矯正を受けられるのか疑問に思われていることでしょう。虫歯だらけだと矯正歯科で門前払いを受けてしまいそうで不安ですよね。
そこで今回は虫歯があっても歯列矯正を受けられるのか、また、矯正中に虫歯になった場合の対処法についても詳しく解説します。
▼虫歯だらけでも歯の矯正はできる?
虫歯がある状態で矯正はスタートできない
虫歯だらけでお口の中の状態が悪い場合は、そのまま歯列矯正を行うことは難しいです。歯列矯正は、治療法に関わらず何らかの装置を口腔内に設置するため、口腔内の状態が悪くなる虫歯を放置することはできないのです。
仮に、矯正装置を装着できたとしても、虫歯は確実に進行していきます。虫歯菌が出す酸によって歯質が溶け、噛み合わせなどが変化するだけでなく、歯そのものを失いかねないので、まずは虫歯治療に専念しましょう。
虫歯が治れば矯正も可能になる
虫歯菌に侵されている歯質を削り、詰め物や被せ物などを装着すれば、歯列矯正も可能となります。詰め物・被せ物がレジンや銀歯であったとしても問題ありません。特別な接着剤を使えば、ブラケットを装着することも可能です。
ただし、「虫歯だらけ」の状態では、もともと虫歯リスクが高くなっているため、お口の中をセルフケアで清潔に保てるようになるまでは、矯正をスタートさせない方が良いといえます。具体的には、歯科医院でブラッシング指導を受け、正しい口腔ケア方法を身につけることが大切です。
▼歯列矯正中に虫歯になってしまった場合は、どうする?
対応はケースによって変わる
歯列矯正中に虫歯になった場合も虫歯治療が優先されることは変わりません。虫歯は自然に治ることがない進行性の病気なので、どのようなケースにおいても早期治療が求められます。治療を始めるのが早ければ早いほど、失う歯質の量も抑えられるからです。そこで気になるのは、虫歯治療が終わるまで矯正をストップするかどうかですよね。
そこの対応は、主治医の判断によって変わります。ケースによっては歯列矯正を中断する必要がないこともあるからです。
矯正を中断するケース
比較的大きな虫歯ができた場合は、ブラケットやワイヤーが虫歯治療の妨げとなることがあります。また、虫歯治療も数週間に及ぶため、そうしたケースでは矯正を一時的に中断することも多いです。特に虫歯が歯の神経にまで及んでいて、根管治療を行わなければならない場合は、歯列矯正を継続するのは難しいです。
もちろん、ワイヤーの部分矯正で装置を装着していない歯に重症度の高い虫歯ができたケースでは、矯正を継続しながら虫歯治療を行うこともあります。虫歯になった歯には力も加わっておらず、矯正治療とはほとんど関係がないといえるからです。
矯正を中断しないケース
ブラケットやワイヤーを装着した状態でも問題なく虫歯治療できるケースでは、わざわざ装置を撤去して矯正を中断する必要はありません。
例えば、表側矯正で歯列の裏側にちょっとした虫歯ができた場合は、矯正を継続しながら一般歯科で虫歯治療を行います。また、軽度の虫歯であれば、虫歯菌に侵されている歯質を少し削り、詰め物をするだけで治療が完了することから、そもそも矯正を中断する必要性が低くなっています。ただし、軽度の虫歯であっても、ブラケットやバンドが装着されている部位に生じているケースでは、それらを一時的に取り外す必要があります。 マウスピース矯正の場合には、装置を作り直さずに治療できるケースも多くあります。
ですから、歯列矯正中に虫歯になった場合は、ケースに応じて柔軟に対応する必要があるといえます。矯正歯科と一般歯科で異なる医院に通われているのであれば、それぞれの先生に情報を共有してもらい、最善といえる方法を模索していくことになります。そういう意味で歯列矯正というのは、矯正治療を得意としている歯医者さん(=矯正の専門医)であることは必須ですが、虫歯治療や歯周病治療にまで対応している医院にお願いした方が良いといえます。
▼インビザライン(マウスピース矯正)は虫歯になりにくい矯正方法
ここまで歯列矯正中の虫歯への対処法について詳しく解説してきましたが、前提としていたのは「ワイヤー矯正」です。歯の表面に金属製のワイヤーとブラケットを装着するワイヤー矯正は、清掃性が悪く、虫歯のリスクが高くなるからです。実際、ワイヤー矯正を始めてから虫歯になってしまう人は一定数いらっしゃいます。
そこで是非とも知っておいていただきたいのが、虫歯になりにくい「マウスピース矯正」です。
(インビザライン(マウスピース矯正)については、こちらの記事で詳しく解説しています。「マウスピースで歯列矯正(インビザライン)|メリット・デメリット、費用と期間を解説」)
食事のときに取り外せる
マウスピース矯正のインビザラインは、食事の際に装置を取り外せます。アライナーと呼ばれるマウスピース型の矯正装置は取り外し式であり、お口の中に装置のない状態で食事を楽しむことができるのです。これは食事が美味しくなるだけでなく、食べかすが装置に挟まったり、溜まったりすることを回避することもできるのです。ワイヤー矯正はデコボコとしたマルチブラケット装置に食べ物が停滞することで虫歯リスクを上昇させます。
歯磨きのときに取り外せる
マウスピース矯正のインビザラインは、歯磨きの際にも装置を取り外せます。普段通りに歯磨きできるため、歯列矯正中だからといってお口の中が不潔になることはありません。マウスピースの清掃も容易に行えるので、歯列矯正中の虫歯リスクを最小限に抑えることが可能です。
▼よくある疑問
ここでは、歯列矯正に関するよくある疑問・質問をいくつかご紹介します。
Q.矯正歯科では虫歯があっても教えてくれない?
A.教えてくれます
矯正治療だけに対応している歯科医院では虫歯治療を行っていませんが、診療中に虫歯を発見した場合は間違いなく教えてくれます。虫歯を発見したにも関わらず、それを患者さんに教えないということは歯科医師としてあり得ない行為です。ただし、診療技術や知識が未熟で、虫歯に気付かない歯科医もいますので、その点はご注意ください。
Q. 銀歯が多くても、矯正はできる?
A.基本的に矯正できます。
銀歯自体は矯正治療を妨げる要因にはならないので、銀歯が人より多かったとしても歯列矯正は行えます。歯の頭の部分全体を覆うメタルクラウン(=被せ物)を装着していると、矯正ができないものだと誤解されている方もいらっしゃいますが、その点はご安心ください。
ただ、歯列矯正は硬い骨に埋まっている歯を人為的に動かす治療であり、歯の根や顎の骨の状態が悪いと、矯正ができない場合があります。銀歯が多いということは、それだけ虫歯リスクが高く、お口全体の状態も悪くなっていると想定されるため、精密検査をしてみなければ、治療の可否を判断するのは難しいのが現実です。
▼まとめ
今回は、虫歯だらけであっても、歯並びの治療である歯列矯正を受けられるかどうかについて解説しました。基本的には虫歯があっても虫歯治療を完結させれば歯列矯正を行えます。歯並びの治療中に虫歯になった場合はケースによって対応も変わってきますので、そこは主治医と相談しながら決めていくことをおすすめします。
いずれにせよ今現在、虫歯がある、もしくは虫歯リスクが高いからといって、歯列矯正を諦める必要はありません。虫歯が心配で歯並びの治療に一歩踏み出せないという方は、お気軽にエムデンタル矯正歯科・用賀までご相談ください。当院は、矯正治療と一般歯科治療の両方に対応している歯医者さんです。
当院の矯正歯科については、こちらのページをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.06.16

歯並びの乱れを細かく整える矯正治療は、一般の歯科治療よりも比較的長い期間を要します。歯列矯正を検討している方の中でも「期間」に不安を感じている方は多いことでしょう。
今回はそんな矯正の期間を治療の方法別に詳しく解説します。
▼歯列矯正に必要な期間
歯列矯正には2つの期間がある
歯列矯正は、歯を動かしたらそれで終わり、というものではありません。歯を移動する「動的治療」のあとに、歯の後戻りを防止する「保定処置」を受けなければならないからです。これは歯列矯正を受ける上で最も重要なポイントのひとつでもあります。
1 動的治療=歯を動かす期間
動的治療とも呼ばれる歯を動かす処置は、皆さんがイメージされる歯列矯正そのものです。専用の装置を使って歯を少しずつ動かしていくことから、数年を要するのが一般的です。ただ、歯並びが徐々に改善されているため、患者様も矯正へのモチベーションを保ちやすいことかと思います。
2 保定処置=後戻りを防ぐ期間
私たちの歯並びというのは、どんな状態であれ、今現在の状態がある意味で自然であると言えます。歯並びは、骨格の形や大きさに加え、歯の本数や生活習慣などによって決められていくものであるためです。そうしたさまざまな要因によって作られた歯並びを、人為的に調整するのが歯列矯正なので、動的治療後に後戻りが生じるリスクを必ず伴います。
適切な保定処置を十分な期間実施することで、その状態が自然となり、きれいな歯並びを維持できるようになります。ですから、後戻りを防ぐ保定処置というのは、歯を動かす動的治療と同じくらい重要なものといっても過言ではないのです。ちなみに、保定期間中はリテーナーと呼ばれる専用の装置を装着します。
▼歯列矯正に時間がかかるのは、なぜ?
一般歯科の治療なら数週間、大掛かりなインプラント治療でも1年以内に終わることが多いですが、歯列矯正は数年という長い期間を要します。
それは次に挙げるような理由があるからです。
理由1 歯は1ヶ月に0.25~0.5mm程度しか動かせない
歯列矯正で動かせる歯の距離は、1ヶ月に0.25~0.5mm程度です。もっと強いをかけて移動速度を上げたら良いのでは?と思われるかもしれませんが、それはとても危険な行為なので推奨できません。なぜなら、歯に対して極端に強い力を加えると、歯の神経や顎の骨に炎症が起きるからです。その結果、歯の移動も正常に進まなくなります。
理由2 矯正で歯が移動するメカニズム
私たちの歯は、とても硬い顎の骨に埋まっており、自力で動かすことはできません。ペンチなどで掴んで瞬間的に強い力を加えても歯が折れる、あるいは抜けるだけで移動することは不可能です。
そこで歯列矯正では、矯正装置を使って、強すぎず弱すぎない力を加えて、無理なく歯を動かしていきます。そうすると、歯が移動する方向の骨が溶けてスペースが生まれ、歯がもともとあった場所の骨は自然に再生されていくのです。この現象は専門的には「骨のリモデリング」と呼ばれます。
▼歯列矯正の種類ごとの治療期間の目安
歯列矯正の治療期間は、お口の中の状態や生活習慣によって大きく変わります。
ここでご説明する矯正方法ごとの治療期間は、あくまでも目安である点にご注意ください。
ワイヤー矯正
ブラケットと金属製のワイヤーを装着するワイヤー矯正は、上下の歯すべてを治療する場合、歯の移動にかかる期間が2~3年程度となっています。それと同じくらいの期間、保定処置も受ける必要があるため、全体では4~6年程度かかるとお考えください。
マウスピース矯正
マウスピース矯正にかかる治療期間もワイヤー矯正とほぼ同じです。歯の移動に2~3年、さらに保定処置に2~3年くらいが標準的といえます。ただ、マウスピース矯正の場合は非抜歯で行うことが多く、歯を動かす処置が1年程度で終わることもあります。
▼歯列矯正を早く終わらせるためにできること
歯列矯正にはある程度の期間を要しますが、次に挙げる点を意識することで治療の延長などを回避できます。
①装置の装着時間を守る
インビザラインのようなマウスピース矯正は、装置の装着時間を患者様ご自身で管理しなければなりません。決められた装着時間を守れないことが多いと、治療計画に乱れが生じて期間が延長しますので、必ず厳守するようにしましょう。
②舌の癖や頬杖の癖を改善する
悪い歯並びの原因に、舌を前に突き出す癖や頬杖をつく癖、歯ぎしり、食いしばりなどがあると、歯の移動を妨げてしまいます。
そうした癖がある人は、普段から意識的に改善するよう努めましょう。習慣になっている癖の改善がどうしても難しい場合は、専門家の力を借りることも大切です。歯科ではお口の悪習慣を改善する治療も受けられます。
③通院予約をキャンセルしない
ワイヤー矯正は月に1回程度、マウスピース矯正のインビザラインは2カ月に1回程度、通院が必要です。通院予約をキャンセルすると、装置の調節や歯が計画どおりに動いているかの確認ができません。ですから、通院の予約は原則としてキャンセルしないことが大切です。やむを得ず予約をキャンセルする場合は、必ず再予約をするようにしてください。
▼歯列矯正の期間に関するよくある疑問
Q.歯列矯正を始めてどのくらいで変化を感じますか?
歯列矯正は、装置を装着してから2~3ヶ月経過すると、徐々に変化を感じられるようになります。特にもともとの歯並びの乱れが大きい場合は、歯の傾きや位置の異常の改善を実感しやすいです。
ただし、歯が移動する速度や歯並びの状態は患者様によって大きく異なるため、治療による変化を一概に語るのは難しいです。
Q.子供の場合、歯列矯正の期間はどのくらいですか?
子供の矯正は、小学2~3年生ぐらいから開始することが可能です。子供の矯正の場合、永久歯が生えそろう前の1期治療、永久歯が生えそろった後の2期治療に分かれますが、全体の期間としては大人とそれほど大きな差は見られません。保定期間も含めて4~6年程度を考えておいた方が良いです。
(当院では小児矯正も可能です。子供の矯正については、こちらをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」)
Q.通院の頻度はどのくらいですか?
一般的なワイヤー矯正は1ヶ月に1回程度、マウスピース矯正のインビザラインは2ヶ月に1回くらいの頻度で通院することになります。保定処置に移行すると3~6ヶ月に1回くらいの頻度の通院で十分となります。
▼まとめ
歯列矯正は、歯を動かす処置と後戻りを防ぐ処置の2つが必要となります。上下の歯全体を動かす処置は2~3年、後戻りを防止する処置にも2~3年かかるのが一般的であり、その点を理解した上で歯列矯正を検討する必要があります。
4~6年の期間があれば、人生においてもさまざまな変化が訪れるため、歯列矯正をやり切れるだろうかと不安に思うこともあるかと思います。矯正相談やカウンセリングの際にはそうした不安もしっかり解消しておくことが大切です。
当院では、ご相談は無料となっております。マウスピース矯正(インビザライン)による歯列矯正にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。 矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)
メディカルノート2022.06.16

悪い歯並びを歯科治療で治す場合、マウスピース矯正(インビザライン)とワイヤー矯正のどちらかを選択するのが一般的です。それぞれに異なる特徴があるので、どちらが良いのか分からない、または迷っているという方が多いかと思います。
そこで、今回はインビザラインとワイヤー矯正をポイント別に比較していきます。違いを深く理解して、治療方法の選択に役立てましょう。
▼インビザラインとワイヤー矯正の特徴
マウスピース矯正(インビザライン)の特徴
インビザラインは、透明な樹脂製のマウスピース(アライナー)を使って治療する矯正法です。装置が目立ちにくく、矯正中であることに気付かれたくない方にとって非常にメリットが大きい矯正法といえます。
食事や歯磨きの際に装置を取り外せたり、治療に伴う痛みが少なかったりするなど、メリットを挙げたらきりがないほどです。そのため昨今はインビザラインで歯列矯正を行う人が急増しています。
ワイヤー矯正の特徴
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる四角い留め具を1本1本の歯に装着してワイヤーを通す矯正です。歯列矯正と聞いてまず頭に浮かぶのは、ワイヤー矯正ではないでしょうか。
日本のみならず世界でも普及しているスタンダードな矯正方法であり、ほとんどの歯並びに適応できるというメリットがあります。
▼インビザラインとワイヤー矯正をポイント別に比較
インビザラインとワイヤー矯正の違いについて細かく知りたいという方のために、比較ポイントを10個挙げました。矯正の治療選択の参考にしてください。
比較ポイント1 矯正装置の目立ちやすさ
〇インビザライン:目立ちにくい
✕ワイヤー矯正 :目立ちやすい
矯正装置は、間違いなくワイヤー矯正の方が目立ちやすいです。標準的なワイヤー矯正では、金属製のブラケットとワイヤーを使用するため、歯列全体で金属色が剥き出しになります。表面が白くコーテイングされたホワイトワイヤーやセラミック製の白いブラケットを使用しても、口元の違和感は残ってしまうものです。
その点、透明で薄型のマウスピースを使用するインビザラインは、近くで注意深く観察しなければ気付かれることもありません。表面は滑らかで光を反射することはありますが、見た人に不快感を与えるリスクは極めて低いです。
比較ポイント2 虫歯・歯周病のリスク
〇インビザライン:リスク低い
✕ワイヤー矯正 :リスク高い
虫歯や歯周病のリスクも、基本的にワイヤー矯正の方が高いです。歯面に設置されるブラケットはデコボコとしており、汚れやプラーク、歯石などがたまりやすくなっています。矯正用ワイヤーが邪魔で歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを入れられない部位も多数あります。
一方、インビザラインのマウスピースは、食事や歯磨きの際に取り外せるため、汚れが詰まりにくく、ケアもしやすいです。ただし、マウスピースを装着したまま清涼飲料水などを飲むと、虫歯・歯周病のリスクが急激に上昇するのでご注意ください。
比較ポイント3 痛み
〇インビザライン:少ない傾向
✕ワイヤー矯正 :強い傾向
インビザライン矯正では、マウスピース1枚でおよそ0.25mm歯を移動させます。比較的弱い力で着実に歯を動かすことから、治療に伴う痛みや不快感も少ない傾向にあります。ワイヤー矯正は1回の調整で0.5mm程度歯を動かすこともあり、比較的強い力が歯列全体にかかりやすいです。そのため治療に伴う痛みも強くなる傾向にあります。
また、装置による物理的な刺激も、薄型で滑らかな形状のインビザラインの方が少なくなる傾向にあります。ワイヤー矯正はデコボコとしたブラケットに、先端がとがったワイヤーを使うことから、お口の中の粘膜を刺激しやすくなっています。調整の度に新たな痛みや不快感が発生することもあり、矯正期間中のストレスもワイヤー矯正の方が大きいといえるでしょう。
比較ポイント4 適応範囲
✕インビザライン:ワイヤー矯正よりは狭い
〇ワイヤー矯正 :広い
現状、症例の適応範囲に関しては、ワイヤー矯正の方が広くなっています。ワイヤーはブラケットをつける位置やワイヤーの屈曲度などを調整することで、三次元的な歯の移動も効率良く行えます。
インビザラインの技術も年々進歩しているものの、ワイヤー矯正ほど幅広い症例に適応できるわけではありません。ですから、重症度の高い歯並びの乱れは、インビザラインではなくワイヤー矯正が第一選択となりやすいです。
比較ポイント5 自己管理の必要性
✕インビザライン:必要あり
〇ワイヤー矯正 :必要なし
ワイヤー矯正に必要なブラケットなどの装置は、設置から撤去までの全てを専門家が行いますので、患者様ご自身で管理する作業はほぼありません。それは自己管理の必要性という観点からはメリットとなりますが、自分の意思で着脱できないことはデメリットにもなり得ます。
一方、インビザラインのマウスピースは、患者様ご自身で着脱していただくことから、自己管理が必須となっています。そうした決まりごとが苦手な方にとってはデメリットとして捉えられますが、自己管理が得意な方にとっては、ここぞという時に取り外せる装置ほど便利なものはないと感じられるでしょう。
比較ポイント6 食事のしやすさ
〇インビザライン:しやすい
✕ワイヤー矯正 :しにくい
食事はインビザラインの方がしやすいです。インビザライン矯正では、そもそも装置を装着したまま食事をすることがありませんので、矯正中も普段通りにご飯を食べることができます。
一方、ワイヤー矯正は固定式の装置であり、その設計によっては食事のしにくさが顕著に現れることも珍しくないです。硬い物や粘着性の高いものは、装置の破損につながることから、口にする機会も少なくなります。
比較ポイント7 歯の磨きやすさ
〇インビザライン:しやすい
✕ワイヤー矯正 :しにくい
インビザラインは歯磨きの際にマウスピースを取り外すため、普段通りに歯磨きできます。デンタルフロスや歯間ブラシなども問題なく使用できます。
ブラケットとワイヤーが固定されているワイヤー矯正は、いうまでもなく歯磨きしにくいです。これはインビザラインとワイヤー矯正における決定的な違いのひとつといえます。
比較ポイント8 費用
〇インビザライン:90万円前後が相場
✕ワイヤー矯正 :100万円前後が相場
歯列矯正は、原則として自費診療となるため、料金設定は歯科医院によって異なります。その上で全国的な相場に触れると、インビザラインは900,000円前後、ワイヤー矯正は1,000,000円前後の費用がかかることが多く、インビザラインの方が経済的といえます。
比較ポイント9 治療期間
・インビザライン:差なし
・ワイヤー矯正 :差なし
同一の症例における治療期間は、インビザラインとワイヤー矯正に大差はありません。全体矯正であれば歯を動かすのに2~3年、保定期間に2~3年を要します。歯並びの乱れが軽度の症例に対してインビザラインを適応する場合は、1年かからずに矯正が終わることもあります。
比較ポイント10 仕上がりの違い
・インビザライン:差なし
・ワイヤー矯正 :差なし
矯正治療の仕上がりという観点では、あえてどちらかを選ぶのであれば、ワイヤー矯正の方が優れていると言えます。ワイヤー矯正は、歯の傾きや位置を細かく調整するのが得意な矯正法だからです。しかし、そうした仕上がりの違いが現れるのは一部のケースで、基本的に仕上がりにそれほど大きな差は生じないと考えていいでしょう。
▼まとめ
インビザラインとワイヤー矯正の違いについて解説しました。それぞれに異なるメリット・デメリットがあり、いろいろなポイントを比較することで、どちらが患者様ご自身に向いているのかも見えてくると思います。インビザラインとワイヤー矯正のどちらの矯正方法にしようか迷っている方は、お気軽に当院までご相談ください。まずは丁寧にカウンセリングいたします。
当院の矯正治療については、こちらのページで詳しく記載しております。ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.05.26

歯並びの乱れを細かく整えることができる歯列矯正は、口元の審美性を改善する上で非常に有効です。しかし、歯列矯正をすると顔つきが変わるという情報を耳にして、不安に思う方もいるでしょう。
そこで今回は、歯列矯正における顔つきの変化の可能性について詳しく解説します。
▼歯列矯正をすると顔は変わる?
歯列矯正を行うと顔つきに変化が現れます。それはほとんどのケースで“良い変化”です。というのも歯列矯正では、歯並びはもちろんのこと、フェイスラインや口元の印象を考慮した治療計画を立て、それに基づいて矯正を進めていくからです。
ただし、顔の骨格が大きく変わるような変化は見込めません。歯列矯正で手を加えるのはあくまで歯並びです。歯並びが顔の輪郭に影響している範囲に限り、変化が認められます。
▼顔つきの変化を感じやすい歯並び
歯列矯正は、悪い歯並びの種類によって、顔つきの変化の感じやすさも異なります。
次に挙げるような歯並びは、歯列矯正を受けることでフェイスラインや口元の印象が改善しやすいと言えます。
出っ歯
専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれる歯並び・噛み合わせの異常で、口が閉じない、口元が膨らんで見えるといった症状が現れます。
日本人に比較的多い噛み合わせの状態で、歯列矯正での改善を希望する方が多いです。横顔の美しさの指標となる「Eライン(エステティックライン)」を気にする方も多いでしょう。
しゃくれ
受け口、反対咬合(はんたいこうごう)、下顎前突(かがくぜんとつ)などの呼び名がある歯並び・噛み合わせの異常です。顎が“しゃくれて”見えるため、口元をコンプレックスに思う方も多いでしょう。
顔つきに大きな影響を与える歯並びとしては、出っ歯と同じくらい有名です。
口ゴボ
口元がモコっと膨らんで見える歯並び・噛み合わせで、上顎前突や上下顎前突が原因となりやすいです。
口ゴボというのはあくまで俗称なので、正確な定義はありません。適切な方法で歯列矯正を行うことで、症状の改善が見込めます。
乱ぐい歯
専門的には叢生(そうせい)と呼ばれる歯並び・噛み合わせの異常で、歯列がデコボコであるのが特徴です。その中でもとくに上の犬歯が外側に飛び出しているものを八重歯(やえば)といいます。
口元や横顔の輪郭などに大きな影響を与えることは少ないですが、歯列矯正によって印象が良くなるでしょう。
▼歯列矯正をすると、どのように顔つきが変化する?
歯列矯正を行うと、次に挙げるような顔つきの変化が期待できます。
Eラインが改善する
Eラインとは、鼻の先と顎の先を結んだラインで、横顔の美しさの指標となります。横から顔を見た際、Eラインの少し内側に上下の唇が入っているのが理想的とされています。
出っ歯や受け口、口ゴボなどの歯列不正がある場合、唇がEラインの外側になっていることが多いため、歯列矯正を行うことでEラインが整います。
歯列矯正では、このEラインを改善することもひとつの目的としています。
口が閉じられるようになる
歯列矯正で前歯の前方への傾きや位置異常を改善すると、口が閉じられるようになります。出っ歯の症状があると口が閉じられないケースもありますが、歯列矯正により口が閉じられるようになると、顔つきも大きく変わることでしょう。
もちろん、出っ歯の症状がどのくらい改善するかは症例によって変わります。重症度の高い出っ歯の場合は、歯列矯正を行っても口が閉じられない症状が残ることもあります。
しゃくれがなくなる・目立たなくなる
下の前歯の傾きや位置異常がある場合は、歯列矯正を行うことで“しゃくれ”という症状が改善されます。顎のしゃくれは横顔や口元の印象を左右する大きな要素なので、矯正によって改善できれば顔貌も大きく変わることでしょう。
ただし、出っ歯と同じように歯列不正の重症度が高かったり、骨格的な異常に由来する受け口であったりすると、歯列矯正で改善できる範囲は一部に限られることがあります。
▼歯列矯正をする際に、顔つきの変化に関するよくある疑問
Q.抜歯をして歯列矯正をしたら顔は変わりますか?
これまで説明したきたとおり、歯列矯正を行うと顔つきが変わることがあります。ただし、抜歯の有無は関係ありません。また、変化する場合は良い変化ですので、そんなに心配する必要はありません。
歯列矯正において、抜歯が必要になるのは、スペース不足を補うためです。抜歯によって不足したスペースを作り出すことで、歯をきれいに並べることが可能となります。出っ歯や受け口、口ゴボといった歯並びは、スペースが足りないことで歯が外側に飛び出しているとイメージしたらわかりやすいかと思います。
歯列矯正における抜歯については、こちらの記事で詳しく解説しています。「矯正で抜歯が必要になるケースと理由を解説|抜歯のメリット・デメリットも」
Q.歯列矯正をすると顔が小さくなることはありますか?
顔の大きさというのは、基本的に骨格によって決まっているので、歯並びを細かく整える歯列矯正で劇的な変化を求めるのは難しいです。
ただ、歯列矯正によって顔の輪郭が小さく見えるようになることもあります。今回ご紹介したような「顔つきの変化を感じやすい歯並び」なら、歯列矯正の後に顔が小さくなったと感じる方も少なくありません。
Q.歯列矯正をすると鼻の下(人中)が長くなることはありますか?
場合によっては鼻の下が伸びたように感じることもあります。本来は抜歯をして矯正すべきケースで、無理やり非抜歯で治療を進めると、そのような症状が現れるリスクが生じます。具体的には、治療によって歯が前方へと移動し、口元の突出感が強まるようなケースです。
その結果、歯並びや噛み合わせが良くなったとしても顔つきには悪影響が及ぶことから、患者様にとってのデメリットは大きくなります。ですから、正しい知識と経験、技術を持った矯正医は、治療計画の段階でそうしたリスクを排除するよう努めます。抜歯が必要なケースで無理に非抜歯で治療を進めることもしませんのでご安心ください。
Q.歯列矯正をすると目の大きさが変わることはありますか?
歯列矯正で、目の大きさが変わることはありません。歯列矯正はあくまで歯並びの乱れを整える治療であり、目元へ影響することはほとんどないからです。ただ、歯並びがきれいになって笑顔に自信が持てるようになると、顔全体の表情も良くなります。その結果、目がぱっちり見えるようになるなどの影響は起こり得ます。表情が豊かになると、それだけで魅力的に見えるようになりますよね。
▼まとめ
今回は歯列矯正による顔つきの変化について解説しました。歯並びは横顔や口元の印象に深く関わっているため、矯正治療を行うことで顔つきまで良くなることが多いです。
歯並びが原因で口元にコンプレックスを抱いている方は、ぜひ矯正治療の相談にいらしてください。当院は、マウスピース矯正のインビザラインに力を入れております。
当院の矯正歯科については、こちらのページをご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」
メディカルノート2022.05.26

歯科医院で受ける歯列矯正は、悪い歯並びを根本から改善できるものの、治療費が比較的高く、治療期間も数年に及ぶことが珍しくありません。それだけに、歯並びの乱れに悩まされている方は、自力で治す方法を模索しているかもしれません。
今回はそんな歯並びの乱れや異常を自力で治すリスクについて解説し、正攻法ともいえる歯列矯正についてもご紹介します。
▼歯並びは自力で治すことはできない
結論からいうと、歯並びの乱れは自力で治すことができません。なぜなら歯は、顎の骨にしっかり埋まっている器官だからです。それを自力で強引に治そうとすると、さまざまなリスクやトラブルが生じるためご注意ください。歯科医師からすると非常に危険な行為であり、それを推奨することは絶対にありません。
しかし、歯並びを良くすることができるとされているマウスピースがネットで売られていたり、割りばしを使って歯並びを矯正する方法が紹介されていたりするなど、一見自分で治すことができるのかなと思ってしまう情報が世の中に多くあるのも事実です。
市販のマウスピース
市販されている矯正用のマウスピースは、1,000円程度で手に入るものの「既製品」である点を忘れてはいけません。私たちの歯並びは一人ひとりで大きく異なりますので、既製品で治療するのはほぼ不可能です。歯並びの状態によっては、多少改善されることもあるようですが、歯や歯茎、顎の骨に悪影響が及ぶリスクの方が高いと言えます。
割りばしを使った歯列矯正
歯並びの乱れは、割りばしで改善できません。割りばしを適切な方法で噛むことで、噛み合わせの調整を行うことは不可能ではありませんが、専門家が推奨する方法ではありません。割りばしの噛み方や噛む時間、噛む位置が不適切だと歯や歯茎への悪影響の方が大きくなります。
▼歯並びを自力で治そうとするリスク
歯並びを自力で治そうとすると、次に挙げるようなリスクが生じます。
リスク1 歯や歯茎を傷める
歯に対して不適切な力を加えると、歯や歯茎、顎の骨を傷めてしまいます。具体的には、歯や歯茎に炎症が生じたり、歯根が吸収したりします。ペンチなどを使って歯に強い圧力をかければ、歯の破折や脱臼などを引き起こすこともあります。
リスク2 歯並びが悪くなる
歯科医院で行う歯列矯正は、緻密な計算のもと歯を動かしていく処置であり、時間はかかりますが、0.1mm単位で歯並びの調整が可能となっています。一方、自力で歯並びを治す方法は、矯正歯科に関する知識のない人が自己流に歯を動かす行為なので、歯並びや嚙み合わせをかえって悪化させてしまうことの方が多いです。
リスク3 後戻りは避けられない
歯並びの乱れを運良く自力で改善できたとしても、保定処置を行わなければ歯の後戻りが生じます。一般的な歯列矯正では、歯の移動と同等の期間、保定装置を装着して後戻りを防止します。そこまで自力で行うことは不可能と言わざるを得ません。
▼歯並びを悪くする生活習慣
悪い歯並びの原因は、遺伝的要因が占める割合もそれなりに多いですが、生活習慣も大きく関わっているのも事実です。次に挙げるような生活習慣は、歯並びを悪くするため要注意と言えます。
指しゃぶり
指しゃぶりは、出っ歯や開咬(かいこう。歯を噛み合わせた時に、奥歯は噛めていても、前歯が噛み合わず隙間ができる症状。)といった歯並びの異常を引き起こします。
離乳・卒乳してしばらくは指しゃぶりがあっても問題ありませんが、3歳、4歳、あるいは大人になってもその習慣が残っている場合は、改善した方が望ましいです。意外に思われるかもしれませんが、成人してからでも指しゃぶりの習慣が続いていると歯並びが悪くなります。
口呼吸
口呼吸は“万病の元”と言われるくらい有害な習慣です。常に口が開いていることで、お口の中が乾燥し、虫歯菌や歯周病菌、風邪の原因となるウイルスや細菌の活動が活発になるからです。
また、口腔周囲の筋肉が緩むことで歯列にかかる圧力が弱まり、前歯が前方に傾くなどして出っ歯が誘発されることがあります。
片側で噛む癖
食事の際に片側だけで噛んでいると、お口の筋肉の発達に偏りが生じると同時に、歯並び・噛み合わせも乱れていきます。さらには顔のゆがみにもつながっていくため要注意です。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、歯の摩耗を促すため、歯がすり減ります。その結果、噛み合わせが深くなるなどの異常を引き起こします。また、個々の歯に過剰な圧力がかかることで、歯並びが乱れたり、歯が欠けたりすることもあります。
軟らかいものばかり食べている
食生活においては口にする食品の硬さにも注意を払う必要があります。食べやすい・飲み込みやすいからといって、軟らかいものばかり食べていると、お口周りの筋肉が衰え、歯並びや噛み合わせも安定しなくなります。
これはご高齢の方に多く見られる現象ではありますが、発育期のお子様や若い方も同様に注意すべきポイントといえます。
▼歯科医院で歯並びを矯正する方法
ここまで、歯並びを自力で治すリスクなどについて解説してきましたが、歯並びをキレイにしたいのであれば、もっとも有効な方法はやはり歯科医院で受ける歯列矯正です。歯科医師の中でも歯並びの治療実績を積んできた矯正医なら、安全性を確保しながら理想に近い歯並びに近付けることができます。
ワイヤー矯正
金属製のワイヤーとブラケットを使った歯列矯正です。世界的にもスタンダードな矯正法といえるでしょう。歯の3次元的な移動も可能で、ほとんどの歯並びを改善できます。ただ、矯正装置が目立ちやすいという難点があることから、目立ちにくいマウスピース矯正を選ぶ人が増えてきているのが現状です。
ワイヤー矯正の費用と治療期間
ワイヤー矯正にかかる費用は、1,000,000円前後です。装置を歯列の裏側に設置する「裏側矯正」は、専用の装置を使用したり、技術を必要としたりするため、1,400,000円前後かかることが多いです。歯並び全体を矯正する治療期間はいずれも2~3年程度となっています。歯を動かす動的治療が終わったら、その位置で歯を固定する保定に2~3年を要します。
マウスピース矯正
透明な樹脂製のマウスピースを使った歯列矯正です。装置が目立ちにくい、歯の移動に伴う痛みが少ない、食事と歯磨きの時に装置を取り外せるなど、従来のワイヤー矯正にはないメリットがたくさんありますが、適応範囲が比較的狭いというデメリットも伴います。歯並びの乱れが軽度から中等度で、痛みやストレスの少ない歯列矯正をお望みの方にはおすすめできる矯正法といえます。
マウスピース矯正の費用と治療期間
ひと言でマウスピース矯正といっても、現在はたくさんのメーカーが異なるシステムを提供しています。そのためマウスピース矯正にかかる費用相場には大きな幅があるのですが、900,000円程度で受けられるのが一般的です。治療期間は、歯並び全体を矯正する場合は1~3年程度かかります。ワイヤー矯正と同様、保定にも同等の期間を要します。
当院の場合、歯並び全体を治す(インビザラインフル)費用は79(期間限定)~90万円程度、部分的なマウスピース矯正(インビザラインGO)の費用は40万円程度です。他の歯科医院も同様ですが、その他にも検査・診断料や保定処置でも別途、費用が発生します。
インビザラインについても、もっと知りたい方はこちらもご覧ください。「マウスピースで歯列矯正(インビザライン)|メリット・デメリット、費用と期間を解説」
▼まとめ
今回は自力で歯並びを治すことについて解説しました。前歯が前方に少し傾いているぐらいであれば自力で治せるのではと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は異なります。歯並びを治すことは専門家である歯科医師でなければ不可能と言っても過言ではありません。
歯並びの乱れにお困りであれば、いつでも当院にご相談ください。乱れた歯並びを歯列矯正で改善すれば、見た目が美しくなるだけでなく、歯磨きがしやすくなることで虫歯や歯周病リスクも抑えらえます。
メディカルノート2022.04.21

マウスピースで歯列矯正できるインビザラインは、年々、人気が高まっている矯正法です。従来のワイヤー矯正にはないメリットがたくさんあり、快適に歯並びを治したい方には魅力の大きい装置となっています。今回はそんなインビザラインのメリットやデメリット、治療にかかる費用や期間についてわかりやすく解説します。
▼マウスピース矯正(インビザライン)のメリット・デメリット
インビザラインには、次に挙げるようなメリットとデメリットがあります。
メリット1 装置が目立ちにくい
マウスピース矯正(インビザライン)では、透明なポリウレタン製のマウスピースを使用することから、矯正装置が目立ちにくいです。近距離で口元をしっかり見ない限り、矯正中であることに気付かれにくいのが大きな特長です。矯正を受けている間も見た目を良くしたいという方には強くおすすめできます。
メリット2 食事、歯磨きは普段通りにできる
マウスピース矯正(インビザライン)のアライナー(=マウスピース)は、食事や歯磨きの際に取り外していただきます。そのため、矯正中だからとって食事に制限がかかることはありません。矯正を始める前と同じように、好きなものを食べられます。歯磨きもしやすく、虫歯・歯周病のリスクを抑えられます。
メリット3 痛みが比較的少ない
マウスピース矯正(インビザライン)で歯を動かす際には、比較的弱い力をかけます。歯にかかる圧力も弱くなるため、矯正に伴う痛みも少ないのです。だからといって歯が移動しにくいというわけではありませんのでご安心ください。インビザラインのアライナーは1枚で0.25mm程度、歯を動かすことが可能です。
メリット4 違和感、異物感が少ない
マウスピース矯正(インビザライン)のアライナーは、厚さが0.5mm程度しかありません。歯の部分だけを覆い、患者様それぞれの歯列にフィットするよう設計されているので、装着時の違和感・異物感が極めて少なくなっています。これもまたインビザライン快適な矯正法といわれる理由のひとつです。
メリット5 通院頻度が少ない
一般的な歯列矯正では、ワイヤーの調整などを行うために、毎月の通院が必要となります。一方、インビザラインは装置の調整が不要で、すべてのマウスピースが最初に完成しているため、それほど高頻度に通院する必要はありません。基本的には2ヶ月に1回くらいの通院で矯正を進めることができます。
留学中もアライナーを留学先へ持って行くことができ、来院の頻度はあらかじめ可能な時期に決めておくこともできます。
デメリット1 装着時間は自分で管理しなければならない
マウスピース矯正(インビザライン)は、患者様ご自身で自由に取り外せる装置です。食事や歯磨き以外の時でも、口元をスッキリさせたい時にアライナーは取り外せます。ただし、最低でも1日20時間は装着しないと、適切な矯正効果が得られなくなるため注意が必要です。装着時間の自己管理が難しい人は、固定式の矯正装置も視野に入れた方が良いかもしれません。
デメリット2 適応できないケースもある
マウスピース矯正(インビザライン)は、歯並びを快適に治せる治療法ですが、決して万能ではありません。大きく倒れてしまっている歯を起こさなければいけない場合や、抜歯をして歯を大きく移動させるようなケースなどには向かないこともあります。とはいえ、技術も年々進歩しており、適応範囲も広がっていますので、快適な方法で歯列矯正を受けたいという方は、お気軽に当院までご相談ください。
デメリット3 アライナー装着中に飲めるのは水だけ
アライナーを装着中、口にできるのは「水」だけです。コーヒーや紅茶、清涼飲料水などを口にする際には、アライナーを外さなければなりません。マウスピース矯正(インビザライン)のアライナーを装着したまま色素の濃い飲み物や砂糖が入っている飲み物を口にすると、歯とのすき間にそれらが停滞してしまいます。その結果、歯の着色や虫歯・歯周病のリスクを上昇させます。
▼ワイヤー矯正との違い
歯列矯正を検討されている方の中には、マウスピース矯正(インビザライン)とワイヤー矯正、どちらを選択しようか迷われる方もいらっしゃると思います。ここでは、マウスピース矯正(インビザライン)とワイヤー矯正の違いを説明していきます。
(インビザラインとワイヤー矯正の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。「インビザラインとワイヤー矯正、どっちがいいの?メリット・デメリットを比較して解説」)
1 装着様式の違い
ワイヤー矯正は固定式の装置で、マウスピース矯正(インビザライン)は着脱式の装置です。それぞれに一長一短があるため、どちらが優れているかは一概には言えないところがあります。
インビザラインは、アライナーを自分で取り外せるという点はメリットではありますが、自分で管理する必要があるということでもあります。1日20時間以上の装着時間を守り、1~2週間ごとにアライナーを交換する必要があるため、装着時間やマウスピースの管理を自分で行う必要があるのです。
一方、ワイヤー矯正は矯正装置を取り外すことはできませんが、装着時間が足りないということは起こらず、矯正装置の調整は歯科医師が行います。そのため、自分で管理する必要はありません。
2 見た目の違い
見た目は、マウスピース矯正(インビザライン)の方が優れていると言えます。ワイヤー矯正は、デコボコとしたブラケットと金属製のワイヤーがとても目立ちます。
3 ケアの方法の違い
マウスピース矯正(インビザライン)のアライナーは、口腔内から取り外して丸ごと洗浄することが可能です。固定式のワイヤー矯正は、通常の歯ブラシに加え矯正用歯ブラシや歯間ブラシなどを駆使して、毎食後念入りにケアしなければ汚れが残ってしまいます。
4 矯正中のトラブルの違い
ワイヤー矯正では、ブラケットが外れたり、ワイヤーが粘膜を傷つけて口内炎ができたりするなど、さまざまなトラブルが起こり得ます。そのため、1ヶ月のうちに何度か通院しなければならなくなることも珍しくありません。マウスピース矯正(インビザライン)のアライナーは極めてシンプルで、装置によるトラブルは起こりにくいです。
▼市販のマウスピースとの違い
マウスピース矯正(インビザライン)に必要な費用や期間を知り、市販のマウスピースでは歯列矯正できないのだろうかと考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに歯科医院でのマウスピース矯正(インビザライン)には費用も期間も必要になりますが、ネットなどで購入できる市販のマウスピースとは、矯正の効果は雲泥の差でしょう。歯科医師としては、市販のマウスピースはあまりおすすめできません。
市販のマウスピースは既製品
当然ですが、市販されているマウスピースは既製品です。市場に流通しやすいよう、同じ形をしたものが販売されています。これはオーダーメイドのマウスピースを使用するマウスピース矯正(インビザライン)との決定的な違いです。
歯科医師の検査・診断の有無
歯並びの乱れを治す歯列矯正は、医療行為の一種です。そのため、歯の専門家である歯科医師が検査・診断を行い、適切な治療計画を立てた上で進めていく必要があります。市販のマウスピースには、そうしたプロセスが一切ありません。
▼マウスピース矯正(インビザライン)の費用
マウスピース矯正(インビザライン)の費用は、選択するシステムによって異なります。
当院の場合、歯並び全体を治すマウスピース矯正(インビザラインフル)の費用は79~90万円程度、部分的なマウスピース矯正(インビザラインGO)の費用は40万円程度となっています。その他、検査・診断料や保定処置でも別途、費用が発生します。
▼マウスピース矯正(インビザライン)の治療期間
マウスピース矯正(インビザライン)の治療期間は、症例によって変わります。
例えば、前歯の歯並びだけを治す部分矯正なら、3~12ヶ月程度で完了することが多いです。歯並び全体を治す場合は、1~3年程度の期間を要します。
上述したように、マウスピース矯正(インビザライン)のアライナーでは、1枚当たり0.25mm程度の歯の移動が可能であるため、治療効果を実感できるようになるには、2~3ヶ月かかります。人によっては半年くらいかかることもありますので、その点は個人差が大きいです。
まとめ
今回は、マウスピース矯正(インビザライン)について解説してきました。従来の矯正法とは異なる点が多いため、マウスピース矯正を検討中の方は、メリットだけでなくデメリットも含めた特徴をしっかり把握することが大切です。
インビザラインについてさらに詳しく知りたい方は、お気軽に当院までご相談ください。ご相談料は無料となっております。
当院の矯正歯科のページには、インビザラインのメリットの他に治療の流れと費用についても記載しております。
ぜひご覧ください。「矯正歯科(インビザライン・マウスピース矯正)」