子供の歯並びが気になっても、まだ早いのではないか、矯正器具を付けることで子供が嫌がるのではないか、と踏み切れない方は多いのではないでしょうか。
そこで注目したいのが「マウスピース矯正」という選択肢です。透明な装置で目立ちにくく、必要なときには外せるため、学校生活にもほとんど影響がありません。
この記事では、以下のポイントについて解説します。
- 子供向けマウスピース矯正の特徴と効果
- 成長期に始めるメリット
- 気をつけるべきポイントと注意点
- 費用や治療期間の目安
ではさっそく見ていきましょう。
子供向けマウスピース矯正とは
歯並びを整えるマウスピース矯正は、大人向けのイメージが強いかもしれません。しかし実は、子供の成長に合わせた専用の治療法があります。それが子供向けマウスピース矯正です。
透明な装置で見た目が気にならないのはもちろん、大切な成長期の顎の発育も促せます。取り外しもできるので、食事や歯磨き、運動も普段通り。子供の生活リズムを変えることなく治療を進められるのが特徴です。
子供向けマウスピース矯正のメリット
痛みが少なく、自然な歯並びへ
子供の顎の骨は、まだ柔らかく育っている最中です。この時期だからこそ、それほど力を加えずに歯並びを矯正することができます。大人の矯正のように強い力は必要ないため、痛みも比較的軽く済みます。
また、顎の成長に合わせて治療を進められるため、将来的に抜歯が必要になるリスクも減らせる可能性が高くなるのもメリットです。
生活への影響が最小限に
透明なマウスピースは、装着していてもほとんど目立ちません。思春期前後の子供たちにとって、見た目への配慮は大きなポイントです。
また、食事や歯磨きの時は外せるため、装置に食べ物が詰まる心配もないです。学校での給食はもちろん、部活動での楽器演奏などもいつも通りに楽しめます。従来のワイヤー矯正は取り外しが難しいため、透明で取り外し可能なマウスピース矯正は大きなメリットと言えるでしょう。
口の機能も一緒に改善
マウスピース矯正のメリットは、見た目だけではありません。口呼吸から鼻呼吸への改善や、舌の位置の矯正など、口の機能を改善する効果も期待できます。
逆もしかりで、正しい呼吸と正しい舌の位置は、歯並びに大きく好影響をもたらします。そのため、将来的な歯並びの後戻りを防ぎやすくなるのです。また、噛む力も自然と強くなり、食事をしっかり噛んで食べられるようになる子供も少なくありません。
気をつけたいポイント
装着時間は治療の要
マウスピースが取り外せるのが特徴ですが、実は落とし穴があります。装着時間の管理は親子で取り組む最大の課題といえるでしょう。
効果的な治療のために必要なのは、1日20時間以上の装着時間です。つまり、食事と歯磨き以外はずっと付けておく必要があります。朝食後に学校へ行き、給食の時だけ外して、また付ける。こうした習慣づけができるかどうかが、治療期間や効果に大きく影響します。
慣れないうちは面倒に感じるかもしれません。でも、装着時間が不十分だと、せっかく動いた歯が元に戻ろうとして痛みを感じたり、治療期間が延びたりすることもあります。工夫次第で子供も楽しく続けられる方法を見つけることが大切です。
意外と大切な生活習慣
歯並びは、普段の何気ない習慣の影響を受けています。例えば、うつ伏せ寝は顎に負担をかけ、頬杖は歯並びを歪める原因になり得ます。スマートフォンを見ながらの姿勢も要注意です。
こうした習慣はすぐには変えられません。そのため、寝るときは仰向けを意識する、勉強中は背筋を伸ばすなど、できることから少しずつ始めていくことが大切です。治療と並行して、子供と一緒に良い習慣作りを目指していけるとよいでしょう。
将来の矯正について知っておきたいこと
子供の時期の治療だけで理想的な歯並びが実現できれば良いですが、成長に伴って追加の矯正が必要になることもあります。
しかし、心配はいりません。このタイミングでの治療は、いわば将来の土台作りです。たとえ大人になってから再度矯正が必要になっても、治療期間を短くできたり、負担を減らしたりすることができます。
治療を始めるタイミング
一般的に、永久歯が生え始める6〜7歳頃が治療開始の良いタイミングとされています。第一大臼歯(奥歯)が生え始め、前歯が生え変わるこの時期に治療を始めることで、歯並びの土台作りがスムーズにできます。
ただし、これはあくまでも目安。歯の生え方や顎の成長には個人差があるため、子供に合わせた最適なタイミングを見極めることが大切です。気になる点があれば、早めに矯正歯科を受診して相談してみましょう。
費用について
治療費は医院によって異なりますが、標準的な費用の目安をお伝えします。
- 治療本体:20〜70万円
- 初回カウンセリング:無料〜1万円
- 診断料:無料〜5万円
- 定期検診(2週間〜1ヶ月ごと):3,000〜5,000円
- 保定装置:2〜3万円
治療期間は1〜3年が一般的ですが、子供の成長速度や症状によって変わってきます。
まとめ
子供向けマウスピース矯正は、成長期の特徴を活かした効果的な治療法です。目立ちにくく衛生的で、痛みも比較的少ないため、子供にとって受け入れやすい矯正方法といえます。
ただし、治療の成功には適切な装着時間の確保と、基本的な生活習慣の改善が欠かせません。子供本人の協力と親のサポート、そして専門医との密な連携があってこそ、良好な治療結果を得ることができます。
歯並びが気になる場合は、まずは矯正歯科専門医に相談してみましょう。子供の状態に合わせた最適な治療計画を立てることができます。