「マウスピース矯正は痛くないって聞くけど、本当に大丈夫かな」
「歯を動かすんだから、やっぱり痛いんじゃないかな…」
矯正治療を検討するとき、多くの方が痛みについて不安を感じます。確かにマウスピース矯正は、昔ながらのワイヤー矯正と比べると痛みは少ないと言われています。しかし、歯を動かす以上、まったく痛みがないわけではありません。
ただし、痛みの程度や対処法を知っておけば、それほど心配する必要はありません。この記事では、マウスピース矯正で感じる痛みについて、以下のポイントを詳しく解説します。
- 痛みの原因は何なのか
- どんなときに痛みを感じるのか
- 痛みを和らげるためにできること
- 痛みを感じたときの正しい対処法
マウスピース矯正で痛みが出る原因
歯を動かすことによる痛み
歯を動かすときには、歯の根の周りにある「歯根膜」という組織に圧力がかかります。歯根膜は歯の根を取り囲む薄い膜で、歯を支える骨とつながっています。歯を動かすと、この歯根膜が圧迫されたり引き伸ばされたりして痛みを感じます。
多くの患者さんが痛みを感じやすいのは、治療開始直後です。初めて歯に圧力がかかるため、強い違和感や痛みを感じることがありますが、これは3日から1週間程度で落ち着いてきます。また、マウスピース交換時にも多少の痛みを感じますが、開始時ほどではありません。
マウスピース自体による痛み
ほとんどありませんが、マウスピースが原因で痛みを感じることもあります。マウスピースの縁が歯茎や頬の内側に当たって痛むケースです。とくに装置の研磨が不十分なマウスピースだと起こりやすく、口内炎の原因にもなります。また、歯につける白い突起物(アタッチメント)が頬や唇に当たって不快に感じることもあります。
装着時間が不十分な場合
マウスピースの推奨装着時間は1日20〜22時間。装着時間を守れないと、外している間に歯が少し元の位置に戻ろうとします。そのため再装着したときに、必要以上の痛みを感じることがあります。また、装着時間が不足すると治療期間も延びてしまうため注意しなければなりません。
マウスピース矯正の痛みを軽減する方法
正しい装着方法を意識する
マウスピースの着脱は、専用の器具(リムーバー)を使ってゆっくりと優しく行うことが大切です。急な着脱は痛みを強くする原因になります。また、装着前の口腔内清掃とマウスピースの定期的な洗浄も、不快感を減らすポイントです。
適切な痛み止めの使用
痛みがつらいときは、担当医に相談して痛み止めを使うのも一つの方法です。ただし、市販の痛み止めを自己判断で使い続けるのは避けてください。抗炎症作用の強い薬は、歯の移動を妨げてしまう可能性があるためです。
マウスピース矯正で痛みを感じたときの注意点
我慢は禁物、早めに相談を
痛みの感じ方は人それぞれです。「様子を見よう」と我慢してしまいがちですが、以下のような症状がある場合は、できるだけ早く歯科医院に相談してください。
- 1週間以上痛みが続く
- 日に日に痛みが強くなっていく
- 歯ぐきが腫れたり出血したりする
- 噛み合わせが大きくずれているように感じる
- 頭痛や耳の痛みを伴う
特に気をつけたいのは、痛みのせいでマウスピースの装着をためらってしまうことです。「少し休ませよう」という判断が、かえって治療の進行を遅らせてしまう可能性があります。不安なときは、遠慮なく担当医に相談するようにしましょう。
装着時間の管理が重要
痛みがあるからといって装着時間を短くしてしまうのは、実は逆効果です。装着が不十分だと、せっかく動いた歯が元の位置に戻ろうとします。すると、再装着したときの痛みがさらに強くなってしまいます。
また、装着時間が守れないと、予定通りに歯が動かないため治療期間が延びてしまう可能性もあります。
食事と歯磨き以外は必ず装着する習慣をつけることが、結果的に痛みの軽減につながります。
自己流の対処は避けよう
痛みへの対処を自己判断で行うのは危険です。
- 市販の痛み止めの継続使用
- マウスピースを自分で削ったり調整したりする
- 装着時間を自分で変更する
- 指示された交換時期を守らない
こういった行為は、治療の妨げになるだけでなく、思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。違和感や痛みが気になる場合は、必ず担当医に相談して適切な対応を受けましょう。
まとめ
マウスピース矯正による痛みの多くは、歯が正しく動いている証拠。ほとんどの場合、数日で落ち着いていきます。上手に付き合っていくためのポイントは以下のとおりです。
- 食事の工夫と正しい装着
- 担当医との密なコミュニケーション
- 推奨装着時間の厳守
過度な痛みや長引く痛みがある場合は、我慢せずに相談することが大切です。適切なアドバイスを受けることで、より快適な矯正治療を進めることができます。